<火力での平均値で計算すべき>
再エネ賦課金は、「再生可能エネルギーの買い取り費用+事務経費-回避可能費用」という計算式で計算され、13年度の再エネ買い取り見込み額は、約4,800億円。回避可能費用見込み額は、約1,700億円と計算されている。約3,100億円の再エネ賦課金が推計され、電気代に上乗せされて消費者から回収される。
買い取り見込み額については、定められている買い取り価格と買い取り量が明らかにされているため、根拠と計算方法は明確。しかし、回避可能費用については、果たして適切な計算方法なのか疑問点が残る。
経産省は、水力、原子力、火力など、すべての電源の運転コスト単価を足して、その平均値から回避可能費用を出している。
自然エネルギー財団の木村研究員は、「水力発電は、燃料費はゼロに近く、原子力も高くない。火力が、もっとも燃料費がかかり、その中でも、石油火力は、運転単価が1キロワット時15・95円かかる。自然エネルギーを買い取った際、経費節減を考えて、通常、費用が高いところから動かさないことになるので、実際には火力で計算するのが妥当」と説明。経済合理性の観点から、運転単価のもっとも高い石油火力で計算するのが実態に近い。
<約1400億円もぼったくり!?>
現在、経産省が使っている数字の全電源平均の運転単価は、1キロワット時8.06円。石油火力では、燃料費(電力6社加重平均値)が、1キロワット時16.65円で、卸電力価格(12年度24時間平均値)が、1キロワット時15.15円。経産省が出した全電源平均での「回避可能費用」は、約1,297億円の算出になっているが、実態に近い石油火力の燃料費を回避可能費用の計算に採用した場合、約2,681億円になり、卸電力価格を採用した場合、約2,440億円となる。
より実態に合った石油火力や卸電力価格での計算方法で再エネ賦課金を計算すると、現在のものよりも約1,100億円~1,400億円ほど安くなる。
「石油火力で計算すると、1,400億円ほど余計に取られている計算になります。全電源の平均値で計算するよりも、少なくとも、LNG火力と石油火力の平均値で計算する方が、実態に近く、妥当な値段。将来的には、卸電力単価を計算に採用する方がいい」と、木村研究員は提言する。電力消費者(企業や国民)は、実際には、払わなくてもいい電気代を払わされているということになる。
【岩下 昌弘】
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