NET-IBでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。今回は、「特定秘密保護法」などアベノリスクの本当の恐さについて触れている12月2日付の記事を紹介する。
昨年12月の安倍政権の発足によって、既得権益勢力は名実ともに、政治権力の奪還に成功したのである。
この権力転覆に貢献した最大の功労者が野田佳彦氏なのである。
メディアは安倍政権下での円安・株高を絶賛し、2013年7月参院選の主要争点を完全に隠蔽した。
原発・憲法・TPP・消費税・沖縄の五大問題を論じなければならないところ、メディアは「ねじれ」と「アベノミクス」だけを選挙争点だと主張し、多くの国民が選挙をボイコットするなかで、全有権者のわずかに4分の1の人々の支持によって、安倍晋三政権与党が圧倒的多数の国会議員議席を占有してしまったのである。
そして、本年7月21日の参院選によって、既得権益勢力が、衆参両院の圧倒的多数議席を占有してしまった。
2016年夏までの2年半、国政選挙が行われない、空白期が生じる。この2年半の間に、日本が完全に別の国にされてしまうリスクが生じているわけだ。
これが、私が訴えてきた「アベノリスク」である。
その、最初の象徴的な事象が、「特定秘密保護法」である。
「特定秘密保護法」の狙いは、次の二つであろう。
ひとつは、米国が創作する戦争に、日本が加担する体制を整えること。
米国が創作する戦争に日本が加担することは、オープンな場での論議では、絶対に容認されない。日本国民が猛烈な抵抗を示す。日本が米国の創作する戦争に加担することを、日本の主権者は認めないと思われる。
そこで、安倍氏は、米国が創作する戦争に加担することの決定を、秘密にすることにしたのである。国民に知らせずに、政府が勝手に戦争への加担を決められる体制を整えたのだ。
もう一つの狙いは、政府に意見を述べる敵対者を排除することである。
これまでも、既得権益勢力は、政治的な敵対者に対して、「人物破壊工作」を展開してきた。無実潔白の人間を犯罪者に仕立て上げることを実行してきた。「特定秘密保護法」が成立すると、政治的な敵対者の排除が、極めて容易になる。特定秘密を漏えいする行為だけでなく、特定秘密を入手するための、教唆、共謀、扇動が処罰の対象になる。居酒屋での政治論議を理由に犯罪を立件できるようになるのだ。
現代版の「治安維持法」であり、日本は政治的自由のない国に逆戻りする。
まさに、大日本帝国憲法の時代に逆戻りするのである。
※続きは「植草一秀の『知られざる真実』」第730号「アベノリスクの本当の怖さと脱出の方法」にて。
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