<高齢でもやればできる>
冒険家でプロスキーヤーの三浦雄一郎さん(81)が、多くの人の健康づくりの意識を高めるきっかけを作ったとして、健康計測機器メーカーのタニタから「タニタ健康大賞」が贈られ、3日、東京・丸の内で、授賞式が行われた。タニタ健康大賞は、タニタが日本人の健康づくりに貢献した個人、団体を顕彰する賞で、今年で10回目を迎える。
三浦さんは、今年5月、史上最高齢の80歳で、自身3度目となるエベレスト登頂に成功。エベレストの頂上に立った時、三浦さんは、世界のてっぺんで、「80歳でも、まだまだいける!」と、力強く言い切った。スキー中の転倒による骨盤骨折や、過去4度に渡る心臓手術を乗り越えた80歳の雄姿は、高齢者だけでなく、夢を追う若者たちにも、多くの勇気を与えた。
タニタの谷田千里社長からは、トロフィーのほか、ベストセラーとなったタニタのレシピ本や血圧計なども贈られた。
ケガや心臓手術など数々のピンチを、強じんな体力だけでなく、精神力でもって突破してきた三浦さん。「高齢化社会になる日本で、高齢者にもっと元気を出し、もっと可能性があるんだということを訴えていきたい。原点にあるのは健康。健康づくりには、攻めの健康、守りの健康の2種類があると思います。高齢であっても、富士山に登ってみたいと挑戦するのが、攻めの健康で、登り切るには体力を上げていかなければならない。攻撃は最大の防御と言いますが、健康づくりでも同じではないか」と、高齢者たちに、"まだまだ可能性がある""高齢でもチャレンジできる"と、発破をかけた。
<60代はメタボ!?>
81歳となった今でも、がっちりとした体形を保持している三浦さんだが、60代の半ばごろには、飲み過ぎ、食べ過ぎによるメタボリックシンドロームになって、狭心症の兆しもあったという。「血圧は190、血糖値もレッドゾーンだった。階段を上るのもしんどかったくらい」。もう一度、運動習慣を付けなければダメだと一念発起し、健康づくりを始めた。三浦さんの父で、山岳スキーヤーである三浦敬三氏は、齢99歳にして、モンブラン山系のヴァレブランシェからスキーで滑降したという記録を持つ。「メタボを解消するには、何か目標を作らなければダメだと思い、父がモンブランなら、自分はエベレストに登ろうと決意した」。この目標に向けて、三浦さんの果敢な挑戦がスタートした。
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