医療法人徳洲会グループの公職選挙法違反事件。徳田毅衆院議員の姉ら8人が同法違反(選挙員買収)の罪で起訴され、連座制の適用によって徳田議員が失職するかどうかが焦点になっているが、5,000万円を"借用"した猪瀬東京都知事をはじめ、巨額の徳洲会マネーの流れも関心の的だ。選挙運動の報酬として病院職員に総額約1億5,560万円が支払われたとされる。それとは別に、地元議員らに現金を配ったという疑惑も報じられている。
2013年に40周年を迎えた徳洲会グループについて、弊社では今年春以来、企業特報「I・B」の企業研究やNET-IBで取り上げてきた。病院経営は民間とはいえ、医療サービスは、国民皆保険のもと保険診療という公的制度の1つだ。しかも、徳洲会グループの66病院のうち特定医療法人と社会医療法人を合わせて23病院が税金の優遇措置を受けてきた。公選法違反で有罪かどうかを問わず、政治に金を出すこと自体が民間企業と同じように扱われていいとも思えない。巨額のカネを右から左に動かせる徳洲会グループのカネの力とは何か、あらためて紹介する。
徳洲会グループは、(医)徳洲会を中心として67の病院、総数330以上の医療・介護施設を経営し、海外でも病院開設を進めている。東京都千代田区に東京本部、大阪府大阪市に大阪本部を置く。
社員数総勢1万人を超えている医療法人徳洲会のみの決算内容は、ここ5期は堅調な推移を示している。08年3月期の売上高は1,433億9,100万円、その後は毎期増収増益を続け、12年期には1,756億4,400万円を計上した。当期利益も相応に確保しており、10年期は29億5,000万円、11年期は69億4,300万円、12年期は78億3,600万円となった。粗利率、経常利益率は直近で約7%を確保し、コスト管理を徹底している様子がうかがえる。
12年期時点での純資産は537億300万円で、比率にして30%近い水準をキープ。現預金は261億3,100万円保有し、流動比率141%、当座比率130%と短期的な支払能力は問題ない。1,202億9,600万円の固定資産の内訳は、主に病院施設に係る土地・建物と見られる。その反対勘定の固定負債の大半を占める長期借入金は、11年期は1,009億2,000万円あったが、12年期には781億600万円に減少し、借入依存率は43.4%と資産に比して少なくなっている。支払利息率も1.11%と金利負担はそれほど重くない。
(医)徳洲会だけを見ても、巨大な財政力を誇っている。それだけでも、徳洲会グループ全体が生み出す利益がいかに巨大かわかることだろう。
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