設立から半世紀にわたって、福岡を中心とした九州地区で、住み良い環境とまちづくりに貢献し続ける一般社団法人九州住宅建設産業協会(九住協)。地域、行政、地場企業と住民が一体となった住環境の開発に、日々取り組んでいる。住宅供給において、大手資本の企業による福岡および九州地区進出が盛んななか、九住協がリードして地場の住宅・建設業界に関わる事業者をまとめ、積極的な宅地およびまちづくりの参入への期待が高まっている。
<地場業界の共存共栄を図る>
現在、我が国では、まちづくりと同様にまちの再開発事業が活発に実施されている。福岡市を見てみても、数々の市街地再開発、土地区画再整備事業など、まちづくりや再開発を実施してきた。だが、そのプロジェクトの中核を担う事業者のなかに、地場業界の企業名がクローズアップされることは、ほとんど見られないのが現状である。主要なポジションは、業界トップクラスの大手が占めているのが現状である。
「業界トップクラスの大手企業は、まちづくりや再開発のエキスパートを何人もそろえている。それらのレベルは、企画・計画力、プレゼン力、デザイン力、情報分析力、プロデュース力、そのすべてにおいて相当高い。対して、地場企業に同様の人材がいるかと問われれば、答えに窮する。残念だが、大手企業に対抗できる人材が不足しているということだ。プロジェクトの実施には豊かな経験を求められる。開発プロジェクトの中核が大手に傾倒している理由は、人材面の問題が大きい。行政側もどうしても、そのような観点から大手志向になってしまっている」と語るのは、都市開発を手がける地場デベロッパー幹部の談。続けて、「今後、地場には可能性はないのかと問われると、そうではない。100、200~300戸レベルのマンションの建設や中規模の再開発で複合ビルを手がけるなど、都市開発の観点から仕事をできる企業は存在する。それらの企業が、共同してプロジェクトを推進していくことである。JR九州と西日本鉄道を除くと、地場企業1社では業界大手に競合はできないことは現実である。すなわち"ヒト・モノ・カネ、情報"で太刀打ちができないということ。有能な人材の確保を実施することは当然ながら、住宅・建設業界の地場有力企業が立場を超えた関係を築き、積極的に福岡のまちづくりに参入していくことだ。そのなかでも九住協の役割は、重要なポイントとなる。本部と鹿児島県支部で170社の業界関係の企業が集結している。必ずできるはずだ」と、九住協を中心とした地場業界各社が住宅の供給のみならず、都市開発・街づくりへの参入の橋渡しをすることを期待している。福岡の都心部では、九州大学の六本松キャンパス跡地の再開発や同じく九州大学の箱崎キャンパスおよびその周辺の再開発が残されている。
最後に、まちづくりの柱として、人口の増加が第一条件となる。以前から唱えられている『福岡市200万人都市構想』の計画を明確に打ち立てて、不動産・デベロッパー・建設業界、金融業界、そしてそれに関わるすべての企業やメンバーを巻き込んで、さらにそれを福岡市の都市計画を担う方々と一緒になって実現していかなければならない。人口が増えれば、行政や建設・不動産に限らず、どのジャンル・業界に対しても利益が生まれる。それは当然のことながら、市民にとって住み良いまちをつくることができることにつながるのである。その大きな要因が、住まいの供給と開発であり、九住協の各社はその担い手となる。
大局を見据えた経営感覚と実践力で、業界大手に優るとも劣らない住宅供給を通じてまちづくりや再開発を行なうことが肝要である。九住協の各社が団結を強固にして、都市開発・再生計画のアイデアをデザインし、具現化することに期待する。
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<INFORMATION>
理事長:諸藤 敏一
所在地:福岡市博多区博多駅前2-11-16 第2大西ビル6F
設 立:1962年8月
TEL:092-472-7419
FAX:092-475-1441
URL:http://www.kyujukyo.or.jp/
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