<地域特性に応じたきめ細やかなまちづくりを>
福岡市では2013年3月、博多駅中央街地区の地区計画の変更を行ないました。これは前述の通り、都心部機能更新誘導方策を活用したものであり、変更対象となる地区は、博多口駅前広場に隣接する旧博多郵便局を含む博多駅南西街区で、容積率は最大1,200%です。具体的な「まちづくり貢献」としては、約37万人/日が行き交う博多駅の賑わいを周辺街区に波及させることなどを目的に、駅前広場との一体化、駅ビル内の2階デッキ・地下通路の延伸など、歩行者の動線を確保するために必要な施策を講じるなどのルールを決めました。
この変更を受け、2つのプロジェクトが動き出しました。日本郵便(株)による開発と、JR九州(株)および日本郵便の共同ビル開発です。両プロジェクトは16年春に開業の予定です。まちづくり構想の段階から市も参加して地区内の地権者との協議を重ね、地権者だけでなくまち全体にとってもメリットのあるかたちでのまちづくりに取り組んできました。利用者目線でどのようなまち並みが良いのかということが重要なポイントとなっており、福岡都心部における今後のまちづくりの手本となる事業の1つだと考えています。
福岡市はアジアに最も近く、ビジネスや観光のみならず映画祭や文化賞をはじめアジアとの交流が深いまちです。年間入国者数も福岡空港は羽田空港に次ぐ5位、博多港も新千歳空港に次ぐ7位と高い数字を維持しています。このような福岡市が目指すのは東京でも大阪でもなく、「福岡らしいまち」です。国際的な交流拠点として多様な人やものの交流の基盤として、魅力あるパブリックスペースを生み出していくことなども重要になってきます。
まちづくり行政に携わる者として、このことを常に仕事の原点に据え、民間ビルの建て替えの機会を捉え、きめ細やかな誘導や支援等を行ない、官民連携でまちづくりを推進していきたいと考えています。地域の特性を的確に捉えたこのような対応こそが、まちの魅力づくりにとって重要なポイントだと考えています。
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