<「嘘」と「隠し事」の違い>
先日のことだ。かつての勤務地だった地域の外食チェーン社長が、東京へ出張でやって来た。久々にランチでも・・・という流れになり、都内某所で鰻を食べていたときのことだ。
「いやぁ山笠さん、鰻も仕入が大変で苦労しとりますが、最近はいよいよ海老も争奪戦になりましてねぇ・・・参った参った!」もちろん、ここのところ連日のようにマスコミを賑わしている、名門ホテルや百貨店で頻発している食材偽装表示の影響で、である。
小生から言わせると、マスコミのさまざまな「ヤラセ」も負けず劣らず相当に酷いものだと経験上は思ってはいるのだが・・・。
さて、ものの本によると「嘘」と「隠し事」の違いとは、「嘘」というのは、ついたことを忘れてしまうものかもしれないが、「隠し事」は夢の間も忘れてしまえない・・・つまり、隠し事は嘘より「弱み」という部分が大きいそうなのだ。
今回、問題が発覚した各料理長殿におかれましては、コスト削減の命令のためというより、禁じ手を使い「嘘」をついたことをすっかり「忘れてしまった」とでもほざこうというのであろうか・・・。罪の意識があまりになさすぎるというか、お客さま・・・もとい! 日本国民をなめているというか、まぁそんなわけで、職人の風上にも置けないタチの悪い連中であることは間違いない。
<高級感もマーケティング次第?>
そもそも「高級食材」とか「高級料理」って、一体何なのだ? 高級か否かについて、小生はこう考えている。「需給バランス」に尽きると・・・。代表的な例が松茸で、松茸がそこいら中のお家の裏山で気軽に採れたりしたものなら、こんなにありがたがられなかったろうし、必要以上に香りに対する魅力も、ここまでではなかったはず。
「マーケティングの勝利」なのかもしれない。一升瓶で5万も6万もする芋焼酎があるが、小生からすれば、その価値は「味にあらず」だ。ちょうど芋焼酎ブームが起こった15年ほど前の頃のことだ。
「山ちゃん一杯だけ特別に飲ましたる」などと、もったい付けられて手に入らないと言われていた噂の「芋焼酎」をグラスに一杯だけ、しかもタダで(爆)ありがたく試飲させてもらったことがあった。ついつい小生も血が騒ぎ、期待にホッペと肝臓を膨らましつつ、「クイ~ッ」とストレートで胃袋に流し込む。次の瞬間、「な~ん、普通の芋ばい、しょせん芋からつくりよ~酒でそんな天地がひっくり返るほど値が張るウマか酒があるわけなかやろ」と、ブームに火が付いた頃から空騒ぎを疑問に思っていた小生は、「やっぱり」と安どの気持ち。心の中ではそう思いつつも、「いやぁ~感動です、この芳醇な芋の味わいはさすがです」と、満面の笑みをたたえてオベンチャラかましたのを思い出す。それから10年。博多で営業をしていた小生は、ご多分に漏れず、美味しい魚と、とっておきの「高級芋焼酎」を武器に接待の連戦連夜となったわけだからして、しょせん小生もさすらいの「ヨイショ営業」そのもの。人生そんなもんである(汗)。
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<プロフィール>
山笠太郎(やまがさ たろう)
1960年生まれ。三無主義全盛の中、怠惰な学生生活を5年過ごした後、大手食品メーカーにもぐり込む。社内では、山笠ワールドと言われる独特の営業感で今日に至る。博多山笠は日本一の祭りであると信じて疑わない。
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