「原発ゼロ」を掲げる小泉純一郎元首相が、今度は首都・東京都知事選で"台風の目"になるかもしれない。現職の猪瀬直樹知事が辞める前から、知事選への動きが持ち上がっているのは気の早い話だが、東国原英夫衆院議員(日本維新の会)が離党・議員辞職の意向を示したことで、都知事の辞任・選挙がにわかに現実味を帯びてきた。
首相時代の郵政解散で世論をかっさらった小泉氏は、政界を引退したと思いきや、一転、「原発ゼロ」の演説行脚から日本記者クラブでの記者会見と「小泉劇場」の健在を見せつけた。東京の政界では、今度は東京都知事選出馬の準備を進めているという話が駆け巡っている。
渦中の猪瀬知事は、医療法人の徳洲会グループ側から5,000万円を受け取った問題で、説得力のない弁明を繰り返しており、ダウン寸前の状態だ。来年1年間の給料返上を表明しているが、10日のボーナス約345万円はちゃっかりもらっている。「将来の生活に不安がある」ので辞任前にもらえるものはしっかりもらおうという魂胆かもしれない。
東京都知事は、猪瀬知事の前は石原慎太郎氏(日本維新の会共同代表)。昨年の総選挙前には、石原氏は、息子の石原伸晃環境大臣を総理総裁にしようとして知事職をなげうったといううわさが絶えなかった。石原伸晃総理総裁の実現は、長期安定政権が確実視されている第2次安倍内閣を前にして遠のいたようだが、"小泉都知事"誕生の方は、夢物語ではない。
勝算が十二分にあるのは、小泉氏が、用意周到と蛮勇・断行の両面を兼ね備えているからだ。郵政解散では、郵政民営化法案が参議院で否決されたのを受けて、郵政民営化の賛成反対を直接国民に信を問い、圧倒的勝利を収めた。今度は「原発ゼロに賛成か反対か、都民に直接信を問いたい」とぶち上げるのかどうか、興味は尽きない。
一方、東国原議員は11日夕方、記者会見の見通し。正式に議員辞職と都知事選出馬を表明するかどうか注目される。にわかに走り出した東京都知事選への動きは、猪瀬知事の力で止めることはできそうにない。もはや猪瀬氏にできることは、自身の進退(辞職)を表明することくらいだろう。
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