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次期総選挙に向けて三つ巴の戦いが始動した~植草一秀氏ブログ
政治
2013年12月11日 13:21

 NET-IBでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。今回は、安倍首相が、憲法違反の違憲立法であり国民主権を否定する特定秘密保護法を強行成立させたことは、政治権力乱用の犯罪行為に等しいとし、主権者側も国民の権利を守るために責任ある行動をとらなくてはならないという12月10日付の記事を紹介する。


天網恢恢疎にして漏らさず

 天が悪人を捕えるために張りめぐらせた網の目は粗いが、悪いことを犯した人は一人も漏らさず取り逃さない。天道は厳正であり、悪いことをすれば必ず報いがある。(故事ことわざ辞典

 東京都知事の猪瀬直樹氏が徳洲会からの5,000万円受領問題で追及を受けている。5,000万円を受領したことは猪瀬氏が認めている。参院選出馬表明直前の資金受領であり、猪瀬氏が徳洲会の徳田虎雄氏に選挙への支援を求めて訪問した直後の資金受領である。猪瀬氏はこの資金受領を明らかにしてこなかった。「裏金受領」と認定されておかしくない事案である。刑事責任の追及については捜査当局の判断が基準になるが、不当な判断を示せば、市民団体が検察審査会に審査を申し立てることは確実である。猪瀬直樹氏は悪あがきをせずに、早期に知事職を辞任するべきである。猪瀬氏は東電に東電病院の売却を働きかけてきたが、東電が東電病院の売却を決定すると、徳洲会が東電病院の競争入札に参加した。強制捜査が入ったあとで入札参加を辞退したが、入札参加の事実は消えない。

 安倍首相は特定秘密保護法を強行成立させた。選挙の際の公約に特定秘密保護法は含まれていない。圧倒的多数の国民が、安倍政権の横暴な政権運営を批判している。特定秘密保護法は憲法違反の違憲立法である。国民主権を否定する法律である。同時に、罪刑法定主義を否定する。刑罰を科す基準が不明確なのだ。知る権利に配慮したと言うが、配慮だけして、知る権利を保証するものでない。

 特定秘密に指定される基準が不明確である。「その他の活動」が指定対象にされるから、どのようなことがらも特定秘密にされ得る。「政治上その他の主義主張に基づき、国家若しくは他人にこれを強要」することが「テロ」と認定されると読み取れる条文が法律に盛り込まれた。石破茂氏はデモ活動をテロと変わらないとブログに記述したが、市民の正当な政治活動であるデモがテロと認定され、処罰の対象となり得る。罪刑を科す基準が不明確では、市民は正当な活動を行なえなくなる。政治権力は、罪のない市民を犯罪者に仕立て上げることを容易に実行できるようになる。このような、憲法違反の法律を成立させることは、犯罪行為と言っても過言でない。だからこそ、多くの市民、多くの有識者が、特定秘密保護法の白紙撤回を求めている。

 国会では十分に論議を尽くすこともせずに、強行採決を実行し、違憲立法を押し通した。
 その安倍内閣支持率が急落した。メディアが実施する世論調査に信用力はないが、時系列での数値の変化には一定の意味があるだろう。その世論調査で内閣支持率が急低下した。
 特定秘密保護法に対する否定的意見は、調査対象の8割を超えている。国会で多数議席を占有したことに伴う「おごり」と「慢心」が生じている。

 安倍首相は国会での多数議席を正統性の根拠とするが、総選挙、参院選で安倍政権を支持した国民は、全体の4分の1にしか過ぎない。選挙をボイコットした国民が半分近くもいたため、投票した国民の半分の投票で安倍政権与党が国会を支配してしまっただけのことなのだ。しかも、選挙の際に、重大争点が論じられていない。景気・アベノミクス・ねじれだけしか、話題にはされなかったのである。また、選挙に不正があったとの指摘も消えていない。主権者国民が安倍首相に白紙委任したわけでないことだけははっきりしている。

 このような現実を謙虚に受け止めることもなく、傍若無人の振る舞いを加速させている安倍晋三氏に鉄槌が下されるのは時間の問題であろう。安倍政権にレッドカードを突き付けるべき存在は、言うまでもなく主権者国民である。特定秘密保護法に賛成した議員は、次の選挙で確実に落選させる。主権者がこの判断を明確に示し、具体的に行動を広げることが、まずは重要である。主権者の側も反省しなければならない。

※続きはメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」第738号「次期総選挙に向けて三つ巴の戦いが始動した」にて。


▼関連リンク
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