＜「知らぬが仏」も「無知は罪」＞
　お寿司だってもともとは江戸時代の屋台が発祥らしい、要するにファーストフードの先駆けだったわけだ。トロなんて食べるようになったのは昭和に入ってからだし、現代の回転寿司も、実は歴史の必然？
　そうそう、小生が若かりし頃、東京に出て来て数か月が経った時期だった。「博多ラーメン」の看板に「懐かしかぁ」とラーメン屋に立ち寄った時のことだ。「とんこつラーメン」が千円近くするのに「ぼったくりバイ」と、思わず叫びそうになったことも今や懐かしい思い出だ。この感覚、当時関西から東京に上京してきた関西人に言わせると、餃子の値段が東京は「有り得へん、なめとんちゃうか～」って感じだったようである。そういえば、上京したての頃に町のフツーの食堂で注文した「ちゃんぽん」だけど、九州の海鮮たっぷりのちゃんぽんとは似ても似つかぬ、「あんかけ」かけただけのラーメンだったぞぉ！
　かつてのこと、米穀業界の関係者の方から、「包装資材の枚数から計算すると、新潟のコシヒカリなんて生産量の10倍は流通してることになりまっせ」と、ここだけの話し的に聞かされたことがある。なぜか当時はあまり大ごとにはならなかったようだ・・・（汗）。知らぬが仏、聞くは気の毒、見るは目の毒などとはいうものの、西洋のソクラテスは「無知は罪」とも言ったもの・・・トホホ。

＜味は価値にあらず、価値は味にあらず？＞
　さて、このように人間の心理を考えた場合、あくまで「たとえ話」にすぎないのだから目くじら立てず、誤解なきようにお読みいただきたいのですが。仮に下関のそれなりのお店で天然フグを食べたとしましょうよ。間違いなく、「さすが本場のフグは美味かねぇ」と、満面の笑みでヒレ酒あおりながら至福のひととき！　仮にそのフグが他所の漁港から持ち込まれたフグだとしてもだ・・・。
　万が一、その事実がバレてしまったとしても、「天然とは申し上げましたが下関で・・・とは申し上げておりませんな」な～んて板前さんに開き直られちゃったりして。口には出さずとも、もしかするとそれに近い感覚の料理長殿が世間には多いのかもしれない。
ところが実際に味はどうか？というと実は、時として「本場」より美味しかったりするのも事実だったりするのだから困りもの。そういった実際の嗜好性という観点からみた事実を、達人プロの料理人らは知り抜いていた結果、国民が欺かれるからくり仕掛けに相成ったのかも・・・なーんて考えすぎ？

　ちなみに小生、下関や博多の高級料亭でフグをごっつい値段をお支払いして食するよりも、大分県で半分以下の値段で腹一杯食べられるフグ料理の方が大好きなのである。なぜならば、小生にとってそこまでカネを出さねばならないほどに、フグが「美味しい」とは感じられないからである。しかし人間の心理というものはそこまでお支払いしたから「美味しく」感じてしまうものなのかもしれない。味は舌で感じるものではなく、オツムで感じるものなのか？　まさに価値とは「味にあらず」なのだ。これはあくまで天邪鬼太郎の例え話に過ぎないため、関係各位におかれましてはくれぐれも誤解の無き用お願いいたします（汗）。

　食の話ではないけれど、こないだ某企業の子会社のコンサルタント会社が主催するセミナー＆プレゼンに参加した。なぜかそこの部長がそっと耳打ちしてくれた。コンサル会社の競争入札でも会社の規模や知名度の大小が影響を及ぼすものだと。もしも味が価値で、価値が規模や知名度ならば、味も規模ということになる。やはり、味は「価値にあらず」なのだ。
きっと日本人の心理構造を分析すると、良きにつけ悪しきにつけ、ビジネスの上でいろんなヒントが得られるのかも。

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