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技能者不足の解消は適正単価の実現から!~福岡県鉄筋事業協同組合
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2013年12月17日 15:14

<活気づく鉄筋工事業界>
福岡県鉄筋事業協同組合 苦難の時期を乗り越え、福岡県鉄筋事業協同組合に加盟する各社の表情には明るさが戻りつつある。鉄筋工事といえば、とび、大工と並んで「労務三職」に数えられる建築現場の花形。建物の高層化が進むなか、鉄筋工事なくして現代の構造物は成り立ち得ない。
 しかし、リーマン・ショック後の4年間、各社は血のにじむような苦難の時期を余儀なくされたという。その当時、急速な景気の後退によって建築需要が激減。限られたパイをめぐり、元請であるゼネコン各社は、赤字覚悟の苛烈な安値受注合戦が繰り広げた。

 当然のように、そのしわ寄せは下請企業に向かう。鉄筋工事業界においても組合外の数社がリードしたダンピングの結果、工事単価はトン当たり2万8,000円前後にまで下落した。鉄筋工事の単価は、一般的にトン当たり3人工で計算される。1人当たり9,300円の請負単価から人件費と事務所経費などを差し引けば、およそ手元に残る金はない。むしろ、職人が生活できるだけの額を出したいとの思いから給与を補てんし、そのために多額の借り入れを起こした企業も散見された。

 ただ、そうした状況下でも、技能者としての誇りと職人の生活を守るために、同組合が活動を怠ることはなかった。建設不況の真っただ中にあった2010年、同組合をはじめとした九州各地の組合は、適正単価をはじめとする各種陳情を携えてゼネコンまわりを実施。単価の下落を食い止めるべく組合内部でダンピングを戒める取り決めを交わすなど、業界の改善に力を注いできた。
 そしてめぐってきた昨今の建築ラッシュ。鉄筋工事の請負単価はいち早く上がりはじめ、ゼネコン各社が組合の要望に積極的に耳を傾ける状況が生まれつつある。苦難の時期の活動が数年の時を経て、今まさに実を結びつつある。

<待遇改善で技能者不足を解消>
 適正単価を求め続けてきた最大の理由は、若年層の極端な技能者不足にある。安全を最優先に掲げているとはいえ、鉄筋工事は危険と無縁ではいられない。しかし、その給与は全産業の平均を26%も下回る水準(国交省調べ)で推移しており、社会保険など福利厚生面での不均衡感もいまだ残る。職人の生活を安定させて技術を受け継ぐ若者を業界に招き入れるため、ひいては社会資本の整備を円滑に進めるための人員を確保するために、原資となる適正単価の実現は不可欠と言えよう。

 そこで、同組合が力を入れているのが標準見積書の普及だ。国や上部組織とも足並みをそろえて策定された標準見積書は、法定福利費を内訳として明示するだけでなく、鉄筋工事の組立費や加工費、運搬費などが細かく記載される仕様になっている。そこには「どんぶり勘定」と言われたかつての姿はなく、適切な根拠に基づく適正な価格を自ら明らかにしたいとの業界側の決意が滲み出る。

 標準見積書を浸透させるためには、鉄筋事業者が足並みをそろえて元請側に訴えかける必要がある。この点につき、同組合の理事長を務める篠森義晴氏((株)清進工業)、副理事長の宮村博良氏((株)宮村鉄筋工業)は、「この仕事に1人勝ちはない」と口をそろえ、組合を挙げて普及に取り組む姿勢を示した。かつて値崩れを主導した組合外の鉄筋事業者にとっても、適正単価の実現は悲願であったはずだ。恩讐を超えて業界が一丸となることが、今まさに求められている。

【田口 芳州】


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