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普及するか水素ステーション(後)
社会
2013年12月17日 07:00

<充填技術はメイドインジャパンの結集>
 ステーション実用化に向けて、現在、ぶち当たっている最大の課題は、70メガパスカルで充填する技術だ。「3分で5kg」の水素を充填するのは、至難の業。当初、35メガパスカルの圧力での充填を計画していたが、1回の補給で500km以上の走行を可能とするには、70メガパスカルの高圧での充填が必要で、ここにハイレベルな技術が要求される。

水素供給にも高度な技術が結集 事前に水素を冷却し、ディスペンサーで、-40度で充填する。そのスピードとともに、気体である水素を通信技術によって、満タンに近い状態になったかどうかを見分ける技術もポイントの1つ。「大量の圧縮水素をいかに早く充填するか。しかし、急速に充填すると摩擦で発熱してしまう。そこに課題がある。満タンに近いところまで充填する技術に関しては、赤外線で通信しながら、コントロールする。これも検証が必要」と北中氏。水素供給の高圧に耐えうる素材には、炭素繊維複合材などが検討されており、燃料電池と自動車の方だけでなく、供給するインフラにも、高度な日本の技術が結集する。

<規制の緩和>
 水素エネルギーに関して、ドイツ、スウェーデン、韓国、アメリカなどが先進的な技術を持っている。将来的には、FCVと水素の供給技術は、国際間での競争になることが予想される。
 現在の日本では、水素ステーションに関して、材料、設置場所、水素の保管方法、輸送の仕方などに、規制がかけられており、この規制の緩和が、インフラのコスト削減と普及した後のスムーズな運営には欠かせない。日本の規制は欧米に比べて厳しく、コストアップの要因にもなっている。規制がこのままだと、燃料電池のエネルギー技術が将来的に国際間の競争になった時、材料や水素ステーションの供給技術において、コスト面で国際間の競争に勝てない可能性が出てくる。安全性の確保を前提として、規制の見直しが進められている。
 水素カーと、その供給インフラ、その関連の技術は、日本が国際的に「稼ぐ」舞台となりえるのか。しのぎを削る競争が始まっている。

(了)
【岩下 昌弘】

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