<ラ・フォル・ジュルネ"鳥栖">
この手のイベントの成果指標の最たるものとして、観光入り込み客数の変化を見てみましょう。
現段階でデータは2011年までしかありませんが、第1回が開催された10年と比べてみると11年は明らかに入り込み客数が増加しています。その数、13万人の増加です。単純計算ですが、第1回の来場者約7万人のうち市外客が53%(第3回の数値ですが)として3.7万人です。13万人の観光入り込み客数増加のうち、ラ・フォル・ジュルネ開催が約4割寄与していることになります。すごい成果ですね。
実際、私も会場で多くの知り合いに会いました。皆さん、福岡市および近辺にお住まいの方々でした。市外から多くの方が押し寄せている、という実感がありました。12年、13年の数値発表が楽しみです。
ところで、実は10月末に橋本康志鳥栖市長に取材を行なったのです。その模様はI・B誌上(1887号、11月18日発刊)で特集されたので、お読みになられた方も多いと思います。
そのなかで市長は、鳥栖市のまちづくりについて独特の視点から語っておられましたが、私が印象に残った発言は「観光にはあまり興味がない」といったことでした。ここまで言い切れる首長はそうはいません。観光以外で市を活性化させる視点をお持ちだから故の発言です。
当然、ラ・フォル・ジュルネ開催についても、観光客増加を目指してのものではない、ということになります。あくまでも「文化を通して鳥栖のステータスの向上を目指す」といった目的でしょう。この音楽祭開催による鳥栖市民の地域に対する誇り、シビック・プライドの向上は確実に達成されつつあると考えられます。
これが、過去3回開催されたラ・フォル・ジュルネ"鳥栖"の最大の成果と言えましょう。
第4回の開催については、ほぼ断念の模様ですが、橋本市長の口からは「別のかたちで開催したい」との言葉が出ました。今後に期待したいと思います。
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和歌山大学産学連携・研究支援センター客員教授、観光学部フェロー
西日本工業大学デザイン学部非常勤講師
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