<生え抜きの3代目社長が就任>
(株)中原工務店は1964年に故・中原義人氏が個人創業を開始し、65年2月に法人化された管工事業者である。2代目代表の中原賢勝氏は中原義人氏の子息にあたり、93年3月から2013年1月まで代表社長を務めた。現在、賢勝氏は代表取締役会長に退き、3代目社長には生え抜きの宮口新氏が就任した。
これは現会長の社長歴が20年を超えたことで、水面下で次世代の社長を育てるために地ならしを行なってきた会長の長年の考えもあった。そうなると適任者は、会長の大学の後輩であり、約30年間在籍して会社の隅々まで知っている宮口氏に白羽の矢が立つのは、必然であった。
同社は、福岡市を中心とした戸建て住宅や低層アパートなどの給排水の設備事業をメインに手がけている。とくに大手ハウスメーカーと深いつながりがあり、社長としては工事施工の高いクオリティを維持する必要があるのだ。その同社の生命線が、3代目に託されたのだ。また、グループの子会社として(株)徳永設備工業がある。主に行政庁関係の管工事を手がけ、親会社である同社の下請業者として活動することが多い。このグループをまとめていく術を、中原会長は宮口社長に伝授したのだ。
<高い品質を維持し信頼と実績を得る>
今後も同社は、大手ハウスメーカーが手がける給排水の設備関連事業を主体としていく方針である。さらに重要なのは、連携の強化をより推進していくこと。そのためには、工事業者を含め、社員全員の個の質を挙げていくことが重要であるとの認識である。この大手ハウスメーカーの戸建住宅の工事には厳しい品質規格がなされており、施工についても高い技術が要求されている。
「高い要求が弊社の質を高めてくれたのだと感謝しています」と宮口社長。また、施工する給排水設備の質も大幅に向上しており、以前にはありがちだった小さな水漏れなども今はなく、24時間呼び出されるメンテナンスに振り回されことはないという。これは「私どもが現場の意見を汲み取って早急に改善を行なったこと」が、工事の作業効率アップにつながったとのこと。
同社の12年8月期の売上高は7億366万円。約75%を空調・衛生設備工事や水道施設工事といった管工事で占める。請負別で見ると公共工事は約13%、民間元請は約9%であり、下請受注主体である。公共工事においては安値での落札競争が過熱し、受注が難しくなっているうえ、くじ引きによる抽選落札が導入されてから、公共事業への依存度は大幅に低下した。
今期の売上見込は約8億円。そのうち半分が大手ハウスメーカーからの受注となる見込みである。公共工事が受注しにくい環境にあるために、同社は民間工事の受注を中心に行なっていく意向を示している。そのために必要になるのはやはり「信頼」である。高い技術とクオリティを併せ持つ同社の躍進に期待がかかる。
<COMPANY INFORMATION>
代 表:宮口 新
所在地:福岡市南区柳瀬2-8-23
設 立:1965年2月
資本金:4,500万円
売上高:(12/8)7億366万円
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