自然エネルギーが地域主導で普及、拡大していくにあたって、欠かせないのが"お金"。国としては、エネルギー基本計画の改定案でも、「原発は重要な電源」と位置付けるなどダークな流れにあるものの、ここにきて、ご当地電力に見られるような地域分散型のエネルギー事業の芽が育ちつつある。環境先進県の長野県飯田市の「おひさまファンド」や福島県の「会津電力」、山口県の「市民エネルギーやまぐち」など、地域主導型のエネルギー事業が続々と立ち上がってきている。地域経済とエネルギーのあり方は今後、どう変わるのか。また、地域とエネルギーのあり方を一歩前へ進めるため、今、首長の決断が重要な時期にきている。
<地域独占を崩せ>
明治時代には、電力会社は多数乱立し、エネルギー事業において競争が行なわれていたが、大正時代、5社に統合。1939年に「日本発送電」と9つの配電会社が設立され、電力供給を9社が担当。地域の電力事業を独占的に担うようになった。国策により、エネルギー事業が進められ、電力網を全国津々浦々に安定的に供給するため、インフラを整備していった。その発送電力網を整備する段階では、その地域独占のあり方は、ある意味、効率がよかった。
現在、沖縄を含めると、全国で10の電力会社が、地域のエネルギーを牛耳っている。電力を安定供給する発送電インフラが確立した今、地域の9電力会社が発電から販売までを一貫運営するあり方は、もはや、その段階を終えたのではないか。
電力自由化を見据え、総合商社や製紙会社などにより新電力が立ち上がりつつあるが、まだ、ドイツなどに比べると、地域分散型には至っていない。今後、地域のパワーの結集は、エネルギー分野における地域独占の形を崩せるのかどうか。長野県や山口県などで、地域で主体的にエネルギーを作り、その地域で消費する地域経済とエネルギーの新しい形の芽が出始めている。
<地域ファイナンスがカギ>
地域主導型のエネルギー事業が、うまく立ち回るために欠かせないのは"お金"だ。風力発電の風車を建てるにも、太陽光発電のパネルを設置するにもお金がかかる。地域のエネルギー事業に興味のある団体、市民のすべてが、地域の金融機関からお金を借りたり、金融機関から資金を調達したりできるわけではない。主体的に関わりたいと思っている地域や市民がどうやって、お金を集めるのか。地域とエネルギーとお金のあり方。将来を見据え、一歩進めていくことが必要だ。
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