九州トップの建設機械レンタル業者である(株)ニシケン。同社は長年、建設機械や仮設資材のレンタルで建設業界の発展を支えてきたが、近年は介護福祉用品のレンタルにも注力し、業績を伸ばしている。時代環境の変化のスピードが加速するなか、同社は果敢に新規事業に取り組み、新たな分野を切り開いてきた稀有な企業だ。
<多様な事業への意欲的な挑戦>
近年は福祉事業の躍進が目を引く同社だが、新規事業として取り組んでいる分野はこれに留まらない。たとえば、高品質野菜を提供する植物工場「アコルくんのすいさい園」を手がける『アグリ事業』。こちらは、天候に左右されることなく安定した野菜の生産が可能で、生産量や生産速度の向上に加え、病害虫の心配をすることなく無農薬栽培が行なえるなど、メリットが多い野菜育成法だ。これは、「食」の安心を考えた取り組みであり、将来的な食糧不足問題などを見越して、この分野での素地をつくっておくことを考えてのものだ。
そのほか、屋外冷却や乾燥対策に有効な「マルチドライミストシステム」「LED照明」などの『環境事業』、屋外広告サインなどの『グラフィック事業』、また最近では、工場向けのレンタル事業である『産機事業部』を立ち上げ、建機などの劣化したバッテリーの寿命を延ばすサービスを提供する『バッテリー再生事業』にも参入した。
とはいえ、これら新規事業は無節操に決められているわけではない。"環境社会への適応"が事業のテーマであり、「自然との共生」、さらに「環境・地域社会との共生」の視点からビジネスが考えられているのである。もちろんビジネスである以上、事業の継続のためには利益が必要であり、利益を追求することは企業として当たり前の姿勢だ。だが、目先の利益に追われるあまり、次第に軸を見失っていってしまう企業も多い。いわゆる"ブレる"経営だ。しかし、同社の新規事業への取り組みはその対極に位置する。先に挙げた視点から、いったん始めた事業に対しては粘り強く取り組み、試行錯誤を繰り返しながら事業を練り上げていく。また、先手先手で、常に事業のブラッシュアップを図っていくことを怠らない。これら多岐にわたる新規事業から、新たに同社を支える第3、第4の柱が育ってくることだろう。
<COMPANY INFORMATION>
代 表:栗山 広一郎
所在地:福岡県久留米市宮ノ陣町若松1-9
設 立 1960年11月
資本金:8億5,738万円
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