福岡県太宰府市に建設中の医療施設で、太陽光発電とLEDに関する電源や配電関係をすべて請け負い、大手医療機器設備会社に発注し、順調に作業を進めるファブスコ(株)(FaBSCo)。エネルギー分野でのスペシャリストを目指す同社代表取締役社長の江藤邦彦氏は、これを機に専門性が高い医療系技術を学ぶことができると考えている。一方、新しい情報を得る努力も並行して行なっている。
<海外事業の難しさと未来展望を語る>
江藤社長は、大企業と提携することが多い。また、福岡に拠点を置くと、どうしても中国や韓国を意識せざるを得ない。大企業は海外事業のニッチな部分を中小企業に請け負わせるところも多いので、自然と事業は海外へと広がっていく。
「外国で仕事を行なうとなると、大企業を通じて商品の卸と設営だけを請け負えばいいという問題ではなくなってくるでしょうね」と江藤社長。
たとえば、一人っ子政策の影響で少子高齢化が急速に進む中国では、医療系、福祉系ビジネスは新規参入分野として注目されていて、日本企業にとっても参入先として期待できる市場と言われている。
しかし中国の医療と介護の法規制は、日本のそれより複雑だ。老健施設の建設を計画している中国の企業に、日本の都合で介護用品などを卸そうとしてもうまくいかないことは予想できる。
中国の法規にあったものをつくって提供しなければならないが、企業にとっては中国向けの商品は一部分にすぎない。そのわずかな取引のためだけに日本では規格外の商品を製造していてはロスが大きい。現に、日本企業は中国市場に合わせた商品をつくるというより、日本市場で型落ちとなった商品を卸す場合が多い。その部分を、中小企業が請け負えば新商品を卸すチャンスも生まれるだろう。
だが、中国においては老健施設自体が新しい事業なので、ノウハウを持つ中国企業は稀だ。老健施設を建てるといっても、建物という器を準備することぐらいだろう。同事業に必須の、バリアフリーを始めとする技術、設計、設営などはないと考えておいた方が良さそうだ。加えて技術指導等を含めての業務を請け負うつもりでいるぐらいの覚悟が必要になるのではないか。
「中国にノウハウがないのであれば、日本の中小企業が請け負う仕組みをつくっていくことで、参入しやすくなるかもしれません。しかし介護系の建物は専門的な技術が必要なので、誰もが引き受けられるものではありません。数社で協力して技術を持ち寄ることにもなるが、今度はその指揮を誰が執るかという問題になってきます。各分野に詳しい日本の企業を束ねて中国側と折衝するコーディネーター役も必要となるでしょうね」と江藤社長。
スケールが大きな展開が持ち味の同社であれば、その役目を担えるのではないかと訊ねたところ、「いえ、医療施設もこれから学ぶところですから、介護施設のコーディネーターなどまったく想像がつきませんね」と答える。しかし、もしその立場に立たされたとしたら、やるという。与えられたものはチャンスと捉えてしっかりとこなしていく。下流で大河になると閃いたものには、上流から関わっていくのが信条だ。
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<COMPANY INFORMATION>
代 表:江藤 邦彦
所在地:福岡市博多区博多駅前2-12-15
資本金:2,000万円
TEL:092-432-2323
URL:http://fabsco.co.jp/
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