東京オリンピックの開催が決まり、都心での建設ラッシュが見込まれる建設業界。全国的に好景気の予感に沸く一方で、職人不足の影響がいまだ続いている。施工業者と職人の間を取り持つ中間業者が抱える問題も深刻だ。だが、(株)九州住建代表取締役の笠俊治氏は、「一番守るべきは、現場の最前線に立つ職人の立場」という信条とともに、職人の地位向上を目指している。
<業界を支えているのは職人の力>
いわゆる1人親方と言われる職人たちは、今まで業界の状況を見わたす余裕もなく、ひたすら受注できる仕事を掴むしかなかった。だが今、事情が変わりつつある。以前は1万余円だった日当が、今では2倍以上になることもあるという。買い手市場のはずなのだが、それでも上から下へと金銭が流れる縦社会の仕組みにおいて、末端である現場で働く職人の立場は依然として弱い。日当2万円で雇われながら、支払いの時点でゼネコン側から支払い不可能と言われることすらある。
「今まで安い日当でしか雇ってもらえなかった職人たちは、食べていくために割の合わない仕事でも請けるしかなかっただけ。条件が厳しくても何も言えなかったというのが現状です。それにゼネコン側が甘えて、低賃金が当たり前だという風潮をつくってしまっていました。それが今、建設業界のひずみとなって表れています」と笠社長は眉をひそめる。
なぜ職人不足が生じているのか。職人の立場に立って業界全体を見わたせば、金銭の流れとは別に、下から上へと流れる仕事の仕組みがあることに気づく。「職人のような技術者が建設業界を支えていて、弊社のような中間業者も彼らに支えられています。職人のもとへ仕事の話を持っていく営業会社に仕事をわたしているのがゼネコンで、やはり彼らも職人たちから支えられているのです」。現場で仕事をする人がいないと、仕事にならない。この当たり前の構図を認めないと、立派な建築物の設計図は書けても、肝心の建築物が完成しないという根本的な問題から逃れられないことになる。
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<COMPANY INFORMATION>
所在地:福岡県糸島市前原東1-6-3
設 立:2002年5月
資本金:1,000万円
TEL:092-332-1231
URL:http://www.q-j-k.co.jp/
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