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10年後の建設業界の発展を目指して(中)~(株)九州住建 笠 俊治 代表
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2013年12月25日 09:00

 東京オリンピックの開催が決まり、都心での建設ラッシュが見込まれる建設業界。全国的に好景気の予感に沸く一方で、職人不足の影響がいまだ続いている。施工業者と職人の間を取り持つ中間業者が抱える問題も深刻だ。だが、(株)九州住建代表取締役の笠俊治氏は、「一番守るべきは、現場の最前線に立つ職人の立場」という信条とともに、職人の地位向上を目指している。

<職人を守って建設業界全体を底上げする>
kentiku.jpg 一番しわ寄せが来ているのは、実はゼネコンから仕事を請け、職人を捜す同社のような中間企業のようだ。ゼネコン側は施工数に比べ職人の数が圧倒的に足りず、「日当賃金を上げるから、何とか職人を工面してほしい」と悲鳴を上げる。しかし提示された条件に従って職人を捜してきても、業務が完了した後で、「支払いができない」と言われたと、複数の業者から相談も受けた。しかし、「今後、建設業界では仕事が溢れるようになるので、今まで無条件に仕事を請けていた職人たちも日当が高いところを選ぶようになるでしょう。それをきちんと支払わない企業は、いずれ信用を失って仕事ができなくなると思います」と笠社長。注文が増えても人手が足りない、というアンバランスな市場において、人と人とのつながりという「環境」を大事にする視点を持たない企業は、これからの時代、生き残っていけないだろうと考えている。

 だからこそ、笠社長の信条は、「何があっても下請けにはきちんと約束通り支払う」ということだ。当たり前のことなのだが、現状では、その「当たり前」ができなくなっている。「弊社が赤字を出したとしても、一番弱者である職人の立場を守るつもりです。もちろん、ゼネコンから受注するときも、職人たちを雇用するときも、赤字にはならないようにしますよ。しかし、一方的な支払い不履行の歪みを職人さんたちに押し付けるわけにはいきません」(笠社長)。

 "職人を守りたい"という思いの背景には、"良い資質を持っている職人たちの地位を向上させ、技術を開花させたい"という思いがある。
 「今まで、職人たちは低賃金で生活を死守してきました。生きるのに懸命だったから、金銭的にも精神的にも、技術を高めたり営業拡販したりする余裕がなかったのです。たとえば今のご時勢、ネット通信やFAXを使って仕事のやりとりをすることが当たり前なのに、そういう設備が自宅になく、節約のために電話回線すら引いていない職人もいるほどです。事務所を構えたくても銀行がお金を貸してくれない。これでは自由に仕事ができません。しかし今、職人の賃金は上がっています。彼ら自身、巷で増え続ける建築物の工事現場を目の当たりにして、建築業界が好景気状態であることを察し始めています。この時期にきちんと設備投資し、営業力もつけて、自ら仕事を取りにいけるような立場になってほしいのです。いずれはそれが建設業界の、本当の意味での活性化につながっていくと思うのです」(笠社長)。

(つづく)

≪ (前) | (後) ≫

<COMPANY INFORMATION>
所在地:福岡県糸島市前原東1-6-3
設 立:2002年5月
資本金:1,000万円
TEL:092-332-1231
URL:http://www.q-j-k.co.jp/


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