<憤る建設業者>
それでは、悪者扱いされた福岡市内の建設会社はどう感じているのか。改めて話を聞いてみた。同社の社長はこう憤る。
「取材のときから、西日本の記者は、(パー券購入が)悪いことだという自分勝手な理屈を押し付けてきて、どう説明しても真摯に人の話を聞く姿勢はなかった。たしかに県議が候補者選考の有力候補だということは知っていた。しかし、武田さんのところの政治資金パーティーでパー券を購入したのは、会社としてのお付き合い。選考とは何の関係もない。第一、県議は会社の役員でも何でもない。それを記事で『県議側』として、ひとくくりにするのは許せない。明らかな誤報だろう。県議の父が私のところの(会社の)創業者であることも間違いないが、パー券を買っておけなどと、指示するはずがない。政治と社業は厳格に区別している方だ。むしろ、知っていれば止められたかもしれない。
一定額以上のパー券購入は、社名が明らかになることぐらい、私だって知っている。承知のうえで、きちんと購入した。自民県連の役員が、本当にこれを『不自然』とか『疑い』とか言うのなら、自分たちはどうか。県をはじめ自治体の仕事をもらっている企業から、1円の金ももらっていないというのか。党の支部だからいいという論法は通用しない。私のところは、党のパー券を買ったんだから、同じことだろう。新聞記者に言ったのと同じことを、我が社に来て言ってみるといい。
西日本新聞は断じて許せない。当社にも県議にも失礼千万。憶測に基づく記事を作成して、第三者のコメントで逃げるなど、まともな報道機関のやることではない。公平・公正に欠けているのはどっちだと言いたい」。
<過去にも意図的な記事>
政治ネタに関する西日本新聞の報道姿勢については、過去にも問題視されていた。福岡市のニュースサイト「HUNTER」が、昨年報じたものだ。それによると、総選挙期間中、西日本新聞が「知事との写真 無断掲載 野田国義氏 法定ビラに」との見出しで、福岡7区で再選を目指して立候補していた民主前職の野田国義候補陣営が、選挙運動用の法定ビラに小川洋福岡県知事とのツーショット写真を許可なく使用し、知事側が野田氏側に抗議文書を送ったという記事を掲載した。意図的な無断掲載であり、悪質であるとの見立てに基づく記事だったが、HUNTERは、3回にわたって同記事の間違いや取材手法の姑息さを詳報し、選挙妨害だとして厳しく批判していた。
今回のパー券購入にからむ同紙の取材手法や、一方的な記事の内容を見る限り、同紙の体質は何も変わっておらず、読者に間違った判断を与えてしまう恐れが強い。問題の記事は、11月29日の政治資金収支報告書公開に合わせて準備されたものだったと見られるが、前出の県連関係者が話すように、県議や医療法人理事長の名前などを伏せているうえ、政治資金パーティーや政治団体の名称をはしょっており、狙いが「疑惑」の提起――それも県政界でのみ問題化することを企図するものだったとしか思えない書きぶりだ。もし、同紙が一部の人間の意図に追随して記事を世に送り出しているのだとすれば、報道機関としての資格を疑う事態であると言えよう。
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