福岡市のプレナスは、来年以降、台湾で定食チェーン「やよい軒」を展開する計画を明らかにした。プレナスと言えば、弁当屋チェーンの「ほっともっと」やしゃぶしゃぶ店「MKダイニング」を展開し、福岡での浸透度も高い。発表によると「台湾は外食比率も高く、食の多様化が進んでおり、日本食に対する理解もあることから有望な市場である」としている。
ここ数年で、日本から台湾に進出する飲食店は少なくない。プレナスは、来年1月に資本金は約2億4,000万円で、完全子会社を設立予定。子会社の名称は「臺灣富禮納思股份有限公司」(富禮納思は『プレナス』と発音する)。1号店の出店に向け準備を進め、2014年内のオープンを目指すとしている。
福岡の飲食店が台湾に進出したケースで有名なのは、ラーメン店「一風堂」だ。台北駅から程近い中山北路沿いにオープン。豚骨ラーメン一杯の値段は200元(サービス料10%で計220元=約700円)からだ。台湾の昼食の相場が200円ぐらいなので、台湾の食費水準からするとかなり高額だが、それでも客足は絶えない。何度もリピーターが訪れ、九州の本格的な味が受け入れられた格好だ。
飲食店が日本から台湾進出を図る傾向も増えてきたが、開店後の数カ月~数年で撤退する店も少なくない。原材料が日本と違うこと、材料入荷の安定性の問題、テナント料の急な引き上げ、従業員の突然の賃上げ要求、商品価格設定の難しさなど、次々と湧く問題に直面した結果、疲弊して引き揚げる日本系の飲食店も多い。定食屋チェーンとしては、日本大手の「大戸屋」が台湾ですでに展開していて、台湾人をはじめ、日本人滞在者など一定の客層をつかんでいる(海外では29店舗を展開)。
福岡を拠点とするプレナスはこれまで、タイや中国、シンガポール、韓国など海外にも進出。台湾へは満を持しての展開となる。「海外での事業展開を重要な成長戦略の一つと位置づけている」とプレナス。果たして、福岡発の『定食』の味が台湾でどれほどの支持を受けるのか、外食業界の注目が集まる。
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