金融庁は26日、みずほ銀行が暴力団関係者らへの融資を放置していた問題で、みずほフィナンシャルグループ(FG)に対し重い行政処分を発令した。
(1)みずほ銀行
★一部業務停止命令
・グループのオリエントコーポレーション(オリコ)などの信販会社を通じた「提携ローン」の新規貸し出しを、来年1月20日から2月19日まで1カ月間停止
(2)みずほFGとみずほ銀行
★業務改善命令
グループ全体に対して法令順守 (コンプライアンス)体制を見直し、「経営責任の所在の明確化」、 「内部管理体制と経営管理体制の強化」するよう指示
これを受けて、みずほFGの佐藤康博社長(兼みずほ銀行頭取)は社内処分と再発防止策を発表した。
(1)みずほFGの塚本隆史会長が来年3月31日付で引責辞任
(2)佐藤康博頭取の報酬(推定年収1億1,600万円)カットの期間を「半年」から「1年」に延長
(3)来年6月から役員人事や報酬を社外取締役が主導して決める「委員会設置会社」に移行し、外部の経営監視を強化
暴力団との「問題融資」が表面化したため、みずほ銀行の塚本隆史会長は今年11月1日付で会長を辞任していたが、みずほFGの会長には留まっていた。
この社内処分によって佐藤康博みずほFG社長(兼みずほ銀行頭取)が続投し、風通しの悪いグループに手を付けることができるかどうかが問われることになる。下記の表はみずほFGおよびみずほ銀行の歴代社長と頭取の経歴である。
みずほグループについて
・第一勧業銀行・富士銀行・日本興業銀行は2000(平成12)年9月29日、株式移転により株式会社みずほホールディングスを設立し、3行はその完全子会社となる。03年1月8日付で、みずほFGに移行。
・2002(平成14)年4月1日、第一勧業銀行を存続銀行として3行が合併して株式会社みずほ銀行に商号変更し現在に至っている。
<上記表からみえるもの>
みずほFGの歴代社長およびみずほ銀行の歴代頭取を見ると旧3行出身者が名を連ねており、いわゆる旧態依然の「タスキ掛け人事」であることが分かる。
今回、新たに金融庁からみずほ銀行が業務の一部停止命令受けたこと、また、みずほFGおよびみずほ銀行が再び業務改善命令を受けたことは、銀行業界にとって異例の重い処分と言える。
それにもかかわらず塚本みずほFG会長は即座に引責辞任せずに、来年3月31日に退任する
ことになった。その裏には、3行出身者の虚々実々の駆け引きがあったのではないかとの憶測を呼ぶ。
◆今後のみずほFGの行く末について
「三菱UFJフィナンシャルグループ」「三井 住友フィナンシャルグループ」に次いで、第3位のメガバンクの座に甘んじている「みずほフィナンシャルグループ」をいかに立て直すことができるかが、経営トップに問われている。
要は佐藤康博みずほFG社長が今から3カ月の間にリーダーシップを発揮して、思い切った人事の刷新をできるかどうかによって、みずほフィナンシャルグループの命運が決まると言っても過言ではないかもしれない。
もしそれができなければ、続投した佐藤社長も引責辞任する最悪の事態を招くことも予想され、金融関係者は固唾を呑んでその行く末を見定めることになりそうだ。
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