<地域自立への一歩>
将来的に、日本では人口が減る。エネルギーで自立することは、人口減により疲弊する地域経済に喝を入れる一手ともなりうる。日々の生活に欠かせないエネルギーを地域で作るということは、雇用の創出など、経済的に自立することにつながる。
地域ファイナンスに詳しい千葉商科大学大学院の伊藤宏一教授は、「地域で作ったエネルギーを、たとえば、都市の企業などに"輸出"できるようになれば、地域への経済効果は上がる。今は、だいぶ東京に一極集中していますが、大都市集中経済の過度なゆがみを正すことができるのではないでしょうか」と分析する。
<一極集中は崩せるか>
現在、首都圏で言えば、東京への人口集中が過密。雇用も東京への一極集中。これが行き過ぎれば、今後、人口の減っていく日本では、地方都市の経済的な疲弊が懸念される。エネルギー分野における地域分散は、この大都市への一極集中を崩すきっかけにもなる。
伊藤教授は、「もともと東京にも戦前には、数10社の電力会社があって競争していた。それが、戦時体制下になり、統合、一括化されて一つになった。いまこそ、分散化が必要だと思う。どのように地域にお金を流すかというのはキーポイントになるでしょう」と、語る。
「昔は、地方では炭を焼いて、熱エネルギーを得るなど、地域ごとにエネルギーで自立していた。食とエネルギーは、生活の根幹にあるもので、毎日使うもの。もともと日本には、自然を敬愛する文化がある。自然を利用して、自分たちで作り、自分たちで使い、余った分は外に売ったりできる仕組みができれば、地域の経済は潤う」と指摘。
食と同様、エネルギーの地産地消を今から進めるべきだとの見方を示した。太陽光パネルや風車など発電技術の向上した今なら、地域主導型でのエネルギー創出が可能だ。
生産し、消費するプロシューマーが育ち、地域金融とうまくかみ合えば、「大きい電力会社はいらない」という時代の到来も、現実に一歩近づく。
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