(株)末永工務店は1958年に故・末永廣信氏により創業したのが始まりで、67年4月に設立された。創業者の逝去後、2代目として創業者の弟・和之氏(現・会長)が代表取締役社長に就任。2008年2月には、当時副社長であった正伸氏が3代目として事業を承継した。同社は、創業者から3代にわたって半世紀以上、「地域密着」「顧客第一主義」で顧客と向き合っている。
正伸社長は、45歳という比較的若い年齢で社長に就任しており、就任当初「先代、先々代から引き継いだものを正しく引き継いでいきたい」と話していた。
創業者である廣信氏は「世の中は循環の法則で動いており、自然の理に適った発想や行動は必ず良い結果を生む」という経営理念のもと事業を行なっていた。事業継承後も、これに沿って長年行動してきたからこそ今があると同社は考える。
正伸社長が副社長時代から、同社は事業の見直しを行なっていた。企業としての成長はもちろん大事だが、営業エリアのむやみな拡大や、売上高ばかりを追いかければ、ひずみが発生することもあり得る。そのため、「余裕のある会社」を目指し、福岡市内周辺に営業エリアを絞り、人数に合わせて売上目標を設定するようにした。この取り組みを行なったのは、前述の理念によるもの。これにより、地域やお客さまに密着した経営が可能になった。
顧客第一主義と地域密着の2つの柱を掲げる同社らしい取り組みがある。同社は建設中の物件に関して、月1回のオーナー会議を行なう。現場に出向き、施主や現場責任者、設備業者らと進歩状況や問題点などを話し合う。そこで、現状に何か問題はないか、施主からの疑問や要望はないかを確認し、その場で軌道修正を行なうこともある。引渡後も2年間にわたり、とくに最初の1年間は月に1回の頻度で施主を訪問し、問題がないかをチェックしている。このような地道な取り組みは、施主への丁寧で誠実な印象を与え、これが新たな顧客を呼ぶことにつながっていく。
現在はアベノミクスや消費税増税前の駆け込み需要もあり、建設バブルという面もある。しかし、原材料費の高騰や、消費税増税後の反動で落ち込む可能性は否定できない。このような要因もあり、先々を考慮すれば、決して建設業界は安泰だとは言い切れない。だからこそ、同社はこれまで以上の顧客のアフターフォローが大切になってくると考える。既存顧客とのつながりを最重要視している同社は、今後も継続した「顧客第一」「地域密着」の姿勢で、顧客の心をつかみ続けていくだろう。
<COMPANY INFORMATION>
代 表:末永 正伸
所在地:福岡市南区長丘5-21-20
設 立:1967年4月
資本金:4,500万円
売上高:(12/12)14億1,531万円
URL:http://www.suenaga-k.co.jp/
※記事へのご意見はこちら