<「和食」がユネスコ世界無形文化遺産に>
そんな京都府の意気込みを応援する出来事が起こった。12月5日、アゼルバイジャンのバクーで開かれたユネスコ無形文化遺産会議で「和食 日本の伝統的食文化」の登録が決まったのである。
この運動は、2011年、京料理関係者等で組織する「日本料理アカデミー」(代表は村田吉弘氏(「菊乃井」主人))が日本の食文化の継承に危機を覚え、登録を働きかけるようにと、京都府に要望したのが始まりである。
「海外では日本食ブームと言われて久しいのですが、似て非なるものも多く、本当の日本食を世界中の人に知ってもらいたいというのが設立の目的でした」と熊谷副所長は語る。
その後、京都府は農林水産省、文化庁、「日本料理アカデミー」等と歩調を合わせて応援をし続けてきた。そのことが、わずか2年という短期間で登録という結果につながったわけだ。
今年の来日外国人の目的別調査では、初めて「和食」が「ショッピング」を抜いている。
<「国際観光」は市場規模約140兆円>
外国人観光客を対象とした「国際観光」の市場規模は140兆円を超え、中長期的に見ても成長産業である。今、世界各国がこの市場で熾烈な旅行客争奪戦を演じている。さらに、所得水準の上昇するASEAN諸国を中心に海外旅行需要の拡大は確実と見られている。ちなみに、日本国内の旅行消費額は約25兆円あり、国内の自動車産業に匹敵する。
日本を訪れる外国人旅行者数は(2013年)11月末で約950万人、初めて1,000万人を超える予定だ。円高の是正のほか、タイやマレーシアなどASEAN諸国で、観光客対象のビザの緩和措置を講じたことが要因と見られている。それでも、世界ランク(UNWTO世界観光機関)の定位置は30位、アジアでも7位あたりである。
世界第1位のフランスには、外国人観光客が年間約8,000万人訪れる。「人口比で言えば、フランスは日本の約18倍の観光客を受け入れています。美しい首都・ウィーンを擁するオーストリアは、人口比で日本の40倍もの観光客を受け入れています」と関係者は指摘する。
アベノミクスの「成長戦略」の一環で目標とされている「2030年に3,000万人」は、とても低いハードルである。ある識者は「日本は人口比だけでなく、"おもてなし"という高い接客技術で、外国人観光客を年間1億人以上受け入れることができる」と語る。今はLCC(ローコストキャリア)で、どこからでも簡単に飛んで来られる時代だからだ。
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