小室裕一氏は自治省行政局振興課長時代に「平成の大合併」を指揮、その礎を築いた人物である。霞ヶ関を離れた現在、鉄道会社専務という激務の傍ら、軸足を団体自治から住民自治に移し、特定非営利活動法人日本マンガ・アニメトキワ荘フォーラム副理事長など、さまざまな文化活動に参画、地に足のついた地方公共団体の自力再生に尽力している。

＜来日外国人の増加にCOOL JAPANで対応＞
　――「2020年東京五輪」が決まり、巷では東京の独り勝ちという声もあります。

　小室裕一氏　そんなことはありません。1964年には高速道路、新幹線はじめ、集中投資をしましたが、2020年は違うと思います。東京のインフラはすでに大方できていますので、仕上げをすることは結構ですが、それ以上は必要ないと思います。また、本当に大きな投資は2020年には間に合いません。
　「2020年東京五輪」については、国民が知恵を絞り、それぞれの分野で、いろいろなことができると考えています。外国人が、観光を含めてたくさんやってくることは間違いありません。現在の1,000万人から3,000万人に増えると言われ、95兆円の経済効果が見込まれています。

　スポーツ、観光立国を目指すことも大切ですが、私は自分の関係している「日本マンガ・アニメトキワ荘フォーラム」を通して、来日する外国人に対して、大規模な「COOL JAPAN」活動を展開しようと考えています。
　東京都内のマンガ・アニメの聖地である豊島区（トキワ荘）、杉並区（アニメミュージアム）、秋葉原、練馬（アニメの発祥地）等はもちろんですが、鳥取県文化観光局「まんが王国とっとり」や富山県氷見市「藤子Ⓐワールド推進会議」など全国に至るところで活動している団体と連携を深めています。九州であれば、北九州市の漫画ミュージアムは有名で、私も、夏に日本マンガ学会で行き発表してまいりました。
　日本全国には、約4,000人のマンガ家が点在していると言われています。2020年までには、全国で活動している、マンガ・アニメ団体と共同で、外国人に対して日本マンガ・アニメの"おもてなし"ができたら最高だと思っています。

　併行して今、「マンガ・アニメバーチャル特区」構想も独自に推進中です。これは、若い人が自分から積極的に動き、地域づくり、まちづくりをする画期的なものです。間違いなく、地方都市の自力再生に役立つと思います。
　日本の文化というと、すぐに頭に浮かぶのは、茶道、華道、三味線・琴などですが、実は、現在、日本に留学生してくる学生の日本を知ったきっかけの約80％以上は日本のマンガ・アニメなのです。

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