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脱原発・新エネルギー

日本エネルギー改革論(5)~自民党・河野太郎衆議院議員×環境エネルギー政策研究所所長・飯田哲也氏
脱原発・新エネルギー
2014年1月 5日 07:00

 脱原発から再生可能エネルギーへのシフト実現のカギを握る自民党・河野太郎衆院議員と、環境エネルギー政策研究所の飯田哲也所長。長期的視野のもと、日本はどのようなエネルギー戦略を立てるべきか。脱原発、エネルギーシフトを成し遂げるために、市民は何を心がければいいのか。改革の志士でもある2人に、日本のエネルギー政策の未来を語ってもらった。

<小泉元首相の原発ゼロ発言について>
fukei_1.jpg 河野太郎氏(以下、河野) 2012年12月に初当選した新人議員のなかには、自民党のなかにも「脱原発をやるべきだ」という議員は少なからずいます。再稼働反対と言っている人もいる。小泉さんは、メディアは取り上げていなかったが、もっと前から脱原発が必要だとおっしゃっていた。小泉さんの発言がメディアに取り上げられたのは、雰囲気という点で大きいと思う。新人議員のなかにも、言いにくそうにしていたのが、小泉さんが言ってくれるならオープンにしても大丈夫という空気ができてきた。ただ、小泉さんが再び議員になって、新党結成するとかそういうのは、ありません。小泉純一郎という人が発言すると、世論の喚起にはなるなと思った。福島第一原発事故以前のように、「河野さんだけ変わってるんだよね」という状況と違うのは力説していい(笑)。

 飯田哲也氏(以下、飯田) 12年の夏に首相官邸前で、何万人という人が脱原発の声を上げた。12年の夏ほど、世論が盛り上がることはないかもしれませんが、世論の後押しは大事だと思う。

 河野 おっしゃる通りで、世論が盛り上がってくれないと、政治が思い切って舵を切るのも難しい。経産省が、原発を止めたら「貿易赤字が...」「電気代がいくら上がる」とか、ないことばかり文書を出している。「そうじゃないよね!」「理性的に議論しようぜ」という雰囲気をつくっていかなくてはならない。

<経産省による間違った文書がバラまかれている>
 飯田 国会周辺では、経産省による「原発停止によるエネルギー安定供給、経済、地球温暖化への懸念」という文書が、若手の議員らにバラまかれたりしています。

 河野 私のところには来ませんよ(笑)。

 飯田 この文書には、原発が止まったら、電気料金が値上げされ、企業の収益に影響が出るとか、燃料費が増加するとか、書いてある。知らない人は、ころっとだまされる。若手の議員は、「原発止まったら、産業に影響あるのか」と、こういう経産省の資料を鵜呑みにしてしまう。専門家じゃないから仕方ないことですが...。

 河野 経産省の官僚が、グラフなどを使って、「電気代がいくら上がる」とか数字を出してきたら、その数字がどこからのものなのか根拠までを調べる議員は少ない。自民党の議員も役所から書類をもらっている。官僚が資料を出してきたらその説明を受けて、「おうそうか、それはいけないな」「さあ、大変だ」となりがち。

 飯田 こういう根拠の薄い資料は、しらみつぶしに叩いていかないといけない。モグラ叩きのようになってしまいますが...。1つひとつ叩いていかないとエネルギー政策がまともにならない。経産省は、エネルギーを軸に独立国のような存在で、自分たちの権益を守るのに異常な執着心がある。

 河野 議員は、役所からの資料の数字なら何となく正しいと思っちゃう。数字を検証できるかというと検証する術もないというのが実情。
 飯田さんのところの研究所のようなきちんとした研究機関が、「その数字、違うよ」と言ってくれれば、「ああ、違うじゃん」となるけど、それもなくて、ただ紙をもらうだけだと、信じてしまう。
 その数字が正しいのかどうか調査する独立したシンクタンクが必要。役所の出した数字が正しくない場合は、きちんとした研究機関が、「違うよ」と否定しなければならない。信頼性のあるシンクタンクが、「きっちりと見てますよ」という姿勢を出すのは、大事だと思う。

(つづく)
【岩下 昌弘】

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<プロフィール>
河野太郎河野 太郎(こうの・たろう)
1963年生まれ。81年慶應義塾大学経済学部入学。84年ポーランド中央計画統計大学留学。85年ジョージタウン大学卒業。86年富士ゼロックス(株)入社。93年日本端子(株)入社。96年第41回衆議院総選挙で初当選。2002年総務大臣政務官に就任。05年法務副大臣に就任。08年衆議院外務委員長就任。09年自由民主党総裁選挙で次点。12年第46回衆議院総選挙にて神奈川第15区で6回目の当選。

<プロフィール>
飯田哲也飯田 哲也(いいだ・てつなり)
1959年生まれ。京都大学大学院工学研究科原子核工学専攻修士課程修了。東京大学先端科学技術センター博士課程修了。原子力産業や安全規制に従事後、「原子力ムラ」を脱出。北欧での研究活動や非営利活動を経て、認定NPO法人環境エネルギー政策研究所(ISEP)を設立。持続可能なエネルギー政策の実現を目指し、地方自治体や国の審議会委員を務める。世界中に幅広いネットワークを持ち、とくに3.11以降、世論をリードするエネルギー戦略を打ち出す。


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