韓国では忘年会のことを「送年会」と呼ぶが、12月終わりにかけてと、旧正月の前に向けた2つのピークがある。「個人主義」が主流の中華圏は忘年会の参加への強制力は低く、女性陣の参加も少ない。
一方、日本は会社や組織で定番のように忘年会が開かれ、「しょうがない」と渋々「つきあい酒」に参加するパターンが多い。韓国人行政通訳者は「韓国もだんだん日本的になってきています。イヤイヤでも付き合わされて行かなければならない風習があります」と現状を話す。
そんななか、韓国では、年末になると使われ始める言葉がある。それが「119忘年会」だ。日本だと「救急車呼び出し」の電話番号であり、韓国も同じく「119」で救急車を呼び出すが、ここでは違う。「1→1次会で終わる。1→1種類の酒を飲む。9→9時前には終わる」という別の意味が込められているのだ。「1種類の酒を飲む」という提言は、複数の酒を飲むことで悪酔いを防ぎ、内蔵や脳への負担を軽減するためである。
韓国では「忘年会シーズンの飲酒が会社員のストレスになる」ということが社会問題として提起され、サムスンやSKなど大企業が、飲酒会の緩和を提唱。「119忘年会」という言葉は、そういった社会の流れに乗って誕生した新語だ。
また、新語はさらに派生し、「1カ所で、1種類のお酒を飲み、2時間以内に終わる」という意味の「112忘年会」という言葉も生まれるなど、「年末の飲酒」に関する新語が続出している。また韓国には「爆弾酒」という酒の飲み方がある。ビールジョッキの中に焼酎のグラスを入れ、グラスに焼酎を、さらに上からビールを注ぐというミックス。そして、それを一気に飲み干す文化のことだ。もともと「軍隊」の中で誕生した文化とされ、上司・部下、先輩・後輩間で、上から下に強制的に一気をさせる。しかし、最近では健康志向の高まりなどから、「爆弾酒」の文化も少なくなっている傾向だ。
職員や公務員による飲酒事件が後を絶たない福岡市でも、この「119忘年会」のような風習を取り入れてみたらどうだろうか。
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