ネットアイビーニュース

NET-IB NEWSネットアイビーニュース

サイト内検索


カテゴリで選ぶ
コンテンツで選ぶ
会社情報

クローズアップ

ネットメディアは何ができるのか(後)~日本インターネット報道協会・元木昌彦代表幹事
クローズアップ
2014年1月 8日 07:00

<ネット言論にもリベラル思考を>
 ――解決すべき問題とは、具体的にどのようなことでしょうか。

 元木昌彦氏(以下、元木) Ustreamで記者会見を放映するとか、対象者の発言をただ流すというのも1つのかたちで、意味のないことではないでしょう。ただし、そのもう1つ先をやっていかなければ、単に向こう側に勝手に使われるだけの道具に成り下がってしまいます。かつて小沢一郎議員がネットメディアを頻繁に活用しましたが、それだけで良しとはならない。「ネットメディアは映像を垂れ流しただけじゃないか」「TVのでき損ない」と言われかねないのです。

 安倍晋三首相はSNSの使い方が実にうまい。安倍人気の何%かはネットおたくの支持者と言われています。Facebookも熱心にやっている。それが悪いというわけではないのですが、ネットというのは経験からいうと、極端から極端にいきます。ネットには中間層というのがなかなかなく、イエスかノーみたいな論調が多い。
 リベラルというか中庸な部分が、今のネットのなかからすっぽり抜け落ちてきている気がします。ネットでは、そのような現象が象徴的に起きています。
 ネットメディアを考えるとき、両極端もあっていいのですが、ネット言論に最も欠けているリベラルな、中間的な考え方というのが、これからは求められてくるだろうと思っています。そういうものをどうつくっていけるのか――。

日本インターネット報道協会・元木昌彦代表幹事 心配した通り、自民党政権になってからは、特定秘密保護法も集団的自衛権の容認も圧倒的な数にものを言わせて、危険な方向に進み始めたと思っています。対して、既存のメディアは劣化してきている。今までの平和主義に安穏としたというのもあるでしょう。すべてとは言いませんが、大事な国民の知る権利とか、権力チェック機能とか、基本の「き」がおろそかになっているメディアが大半だと感じます。
 特定秘密保護法案にしても、最初のうちは騒いでいませんでしたが、衆議院で法案が可決されそうになると大騒ぎになりました。もう少し早ければ何とかなったかもしれないのですが、とくに大きなメディアの対応が遅かったように感じます。
 2003年に成立した個人情報保護法のときも、最終的に尻に火が付かなければ大手メディアは動こうとはしませんでした。そのときと同じで、私たちは仲間とともに反対運動をちっぽけなメディアなりにやってきましたが、大新聞のメディアはついて来ませんでしたし、雑誌メディアの動きも鈍ってきたなと感じています。自民党が圧倒的な数の論理で推し進めるのにも不安はありますが、今のメディアがきっちり役割を果たしているのかも問題で、三面記事の報道合戦を行なうだけではなく、危険な安倍政権の方向などにもっと大声を上げる必要があるのではないでしょうか。

<何かをやるのは「人」>
 元木 かつての雑誌ジャーナリズムは、記者クラブに入れない分、綿密な周辺取材を行なって1つのかたちをつくりました。そう考えると、ネットメディアというものを3年から5年、10年かけて、今までとは違うジャーナリストを育て、活躍の機会を与えるというのが、今後の課題ではないでしょうか。
 ネットメディアが何をできるのか、まだわかりません。まだ未熟なメディアですが、何ができるのかを次々に試していけばよいと思います。TwitterやFacebookで政権を倒すような大きなことが海外では起きています。そこまでできるかどうかはわかりませんが、何かをやるのは「人」です。人が世の中を変えていくので、そういう若い人たちが出てきてくれて、権力チェックをしていく。いつそういう若者が出てくるかなと、注視しています。

 繰り返しになりますが、会見をじっと映すのも意味はありますが、そこから問題点を掘り起こし、見ている人たちに提起していくのがジャーナリストの仕事と言えるのではないでしょうか。

 ――ありがとうございました。

(了)

≪ (前) | 

<プロフィール>
元木 昌彦元木 昌彦(もとき・まさひこ)
1970年講談社入社、月刊「現代」、「週刊現代」を歴任後、90年「FRIDAY」編集長に就任。92~97年「週刊現代」編集長・第一編集局長、99年インターネットマガジン「Web現代」創刊編集長などを経て、2001年に三推社専務取締役に就任。その後、「オーマイニュース」編集長、同社社長を務める。


※記事へのご意見はこちら

クローズアップ一覧
NET-IB NEWS メールマガジン 登録・解除
純広告用レクタングル

2012年流通特集号
流通メルマガ
純広告VT
純広告VT
純広告VT

IMPACT用レクタングル


MicroAdT用レクタングル