和牛オーナー制度が破綻して倒産した安愚楽牧場が、出資者に事実と異なる説明をしていたとして、特定商品預託法違反(不実の告知)容疑で罪に問われた裁判で、東京地裁は9日、同社元社長の三ケ尻久美子被告(69)に懲役2年10カ月(求刑懲役3年)、元専務大石勝也被告(74)に懲役2年4カ月(同懲役2年6カ月)の実刑判決を言い渡した。
繁殖牛が不足しながら、繁殖牛が存在しているかのように装って勧誘を続けていたことが犯罪と認定され、ほぼ求刑通りの実刑判決が下された。
安愚楽牧場のオーナーは全国約7万3,000人以上で、被害額は約4,200億円。消費者事件としては過去最大規模となる。安愚楽牧場の倒産をめぐっては、11年8月に行なわれた債権者説明会でも、資金難に陥っていながら勧誘を続けたとして、「詐欺事件の可能性が高い」、「民事再生でなく刑事告訴すべき」などの声が上がっていた。繁殖牛の頭数などについても、当時から疑惑を指摘する声があった。
全国安愚楽牧場被害対策弁護団(団長:紀藤正樹弁護士)は、ホームページ上で、詐欺事件として起訴しなかった検察官に抗議し、「近く検察審査会に対して詐欺罪での起訴を求めて、申し立てをする予定」としている。また、被告人らに対しては「控訴することなく、刑務所において、自らの行為について振り返り、今後、いかに被害者に対して償いを行なっていくかを考えて、具体的な賠償方法を提示するよう求めます」としている。
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