普天間基地移設問題と沖縄振興のあり方が焦点となる沖縄県名護市長選挙(12日告示)で、新人で元自民党県議の末松文信氏(65)の陣営は9日夜、名護市民会館で総決起大会を開き、主催者発表で3,600人が集まった。内閣府の小泉進次郎政務官、仲井真弘多知事が応援に駆け付け、立候補を取りやめた島袋吉和・前市長が最高顧問として出席して挨拶。普天間基地の辺野古への移設問題が持ち上がった際に1997年12月、移設受け入れを表明した比嘉鉄也元市長も参加した。
<末松氏再編交付金の必要性を語る>
末松氏は、普天間基地の移設先とされてからの約17年間を振り返り、「これまでの名護市の取り組みに終止符を打って、新しい名護市に取り組んでいく必要がある」と力説した。普天間基地の移設先として同市の辺野古埋め立てを承認した仲井真知事の決定について、「普天間基地の辺野古移設への大きな一歩。名護市、ヤンバル(沖縄本島北部の総称)、沖縄県、我が国の将来を方向付ける重い決断だ」と高く評価して、「知事、ありがとうございます」と述べた。
また、「市政の現状をそのまま継続するわけにはいかない。今まで(辺野古への移設に)反対と言わなければ、(米軍基地再編で新たな基地負担を受け入れた自治体に配分される)再編交付金42億円が名護市に下りてきた。現市政が続くと、あと220億円の再編交付金が無になる。特別措置の財源を活用して、新しい名護市の街づくりを挑戦していく。沖縄本島北部の"北の都"を築いていきたい。そのためには、知事、政府のバックアップが必要不可欠」と訴えた。
<各出席者、新しい名護市づくりを呼びかけ>
小泉氏は、「この17、8年間、普天間基地に関係する問題が混迷、停滞し、名護市民、沖縄県民にご心労、ご苦労をかけた」とお詫びし、比嘉元市長ら多くの人の苦渋の決断が実現していないことにふれて、「もう終止符を打とう」と述べ、移設への理解を求めた。「このたたかいで市民の心を一つにして、停滞市政を変え、新しい名護市をつくるスタートをつくろう」と呼びかけた。
仲井真知事は、辺野古埋め立て承認を報告し、「地元のみなさんにご苦労をかけるが、この件は今度で終わらせたい」と表明。「普天間基地の代替施設を飛躍の土台として、島袋前市長時代のような名護市の元気を取り戻してもらいたいのが切なる願い。名護市に大きな産業と雇用を生み出せるように頑張って参りたい。末松候補の公約通り、県も御国といっしょになって全力でやっていく」と全面的バックアップを表明した。
自民党県選出国会議員の比嘉なつみ参院議員、島尻あい子参院議員、自民党県連幹事長の照屋守之県議らが決意表明。辺野古埋め立てを承認した仲井真知事の支持を表明した4首長のうち佐喜真淳宜野湾市長、儀武剛金武町長も駆けつけ、支援を訴えた。各氏は「普天間返還が目の前に来ている。普天間問題を一気に解決しよう」(島尻参院議員)、「知事は沖縄振興予算毎年3,000億円の約束を取り付けてきた。知事の英断を評価し、知事を支え、いっしょに行動していく」(儀武町長)、「国も県も名護市のために(財政支援を)やろうという。あとはみなさんだ」(照屋県議)など、政府・知事と一致団結する決意を表明した。
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