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中国人がトイレのドアを閉めないのは「曖昧な文化」~日本人との感覚的な違い
チャイナビジネス最前線
2014年1月14日 07:00

china.jpg 日本と中国の間には、国家間の問題にしろ、個人レベルの付き合いにしろ、ぎくしゃくした部分が生じる。「尖閣諸島問題」から「中国人の作法(マナー)」まで様々だ。もちろん、日本人や日本国家が違和感を覚えるのと同様、中国人も日本人に対して「違和感」を持っている。中国から来た留学生も、便利で安全なはずの日本での生活にも関わらず、多くが「違和感」を感じているのだ。

 日本人と中国人の感覚的な違いも大きい。その1つが「日本人は白黒はっきりつけたがる。中国人は曖昧なままぼかす」というもの。国家間の問題に当てはめれば、それまで宙に浮いた状態だった尖閣諸島の問題に、突如として「国有化」という線を引いた日本。線を引き、白黒はっきりつけた日本に対して中国は違和感を覚え、そこから発生したヒビ割れは未だに残っている。

 生活レベルでは、トイレの扉を閉めない中国人、日本人はヘンに思うが、これも「自分の空間と公の空間をはっきり分けない」という中国人の根本発想にある。中国で、中国人と食事に行く際に「割り勘」「自分が食べた分だけ払う」ということは基本的に行なわれない。「地主之誼」と呼び、「ホームグランドの人が食費を持つ」という文化がある。中国で割り勘を提案しようものなら、その「自分と相手をはっきり分けようとする」行為で、中国人は嫌悪感を示すかもしれない。「パクリ」問題もそこに端を発している。日本人でも人から「学ぶ」ということはあるが、中国では「学ぶ」「真似する」「パクる」というところにもともと線引きする概念がなかった、というだけのことだ。

 中国語を勉強すると、初期の段階に出てくる単語に「不客気(プーカーチー)」という言葉がある。日本では「どういたしまして」という解釈をされ、「謝謝(シェーシェー)/ありがとう」に対して使用される。「どういたしまして」と意訳されるものの、「客気」とは、客の気分=遠慮を指す。不客気とすることで「遠慮をするな」=「自分との距離感をそこまで出さなくてよい」というニュアンスで捉える。中国人が客人を招く場合、「遠慮される(距離感を出される)」ことを嫌う。日本ではその反対で、他人が自分のエリア内に踏み込んできた場合「ずうずうしい」と言って嫌がる。他者との距離感にも白黒はっきりつけたがるが、中国人は他者との距離感を近づける傾向だ。日本人は、他者を自分の家に招くことが減ったが、中国人は自分の家に呼んで食事をしたり酒を飲んだりする。これは、食費を浮かせようとしているわけではなく、相手との距離感をなくそうとする行為だ。日本人と中国人との間にしばしば起こる問題というのは、相手との「線の引き方」「距離感の捉え方」の違いによって起きていることが多いのだ。

【杉本 尚丈】


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