沖縄県の仲井真弘多知事が普天間基地を移設するための名護市辺野古埋め立てを承認したのに対し、辺野古周辺の住民を含む県民194人が15日、沖縄県を相手取って、同承認取り消しを求める行政訴訟を提訴した。同時に、原告のうち辺野古近隣の43人が承認の効力停止を申し立てた。
訴状では、国(沖縄防衛局)の申請に対する知事の承認は、公有水面埋め立て法第4条1項1号~3号の要件を満たしていず、違法であるとして、取り消しを求めている。
訴状によると、同法は環境保全と災害防止について十分な配慮を求めている(同2号)が、海草藻場、ジュゴンやサンゴ、ウミガメの生息環境の保全措置に実効性がないと指摘。航空機MV22オスプレイの飛行による安全性確認がなされていず、騒音被害が増大することは明らかだとしている。また、環境影響評価書への県知事意見が「事業実施区域周辺域の生活環境および自然環境の保全を図ることは不可能と考える」と指摘し、その後評価書が補正されたものの、補正が不十分であり、「自然環境の保全を図ることは不可能」としている。
環境保全に関する国・地方自治体の法律に基づく計画に関して、生物多様性国家戦略や生物多様性おきなわ戦略などに反し、同3号の要件を満たさず、違法だと主張。また、同1号が、埋め立ての必要性と自然環境に及ぼす影響を比較検討し「国土利用上適正かつ合理的」であることを要求しているが、自然環境に及ぼす影響が甚大な一方、埋め立ての必要性そのものがないと指摘している。
裁判所が判決で承認取り消しを命じるまで、埋め立て承認の効力が続き、国が新たな基地建設のための埋め立て工事をすることは可能。そこで、原告らは、工事によって自然環境などが壊されると、その損害は重大で回復は著しく困難だとして、判決が確定するまでの間の埋め立て承認の効力停止も求めた。裁判所が効力停止を認めれば、埋め立て工事はできなくなる。
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