<働くとは何か。社会貢献することだ>
――経済人として、沖縄の基地問題にどのような考えをお持ちですか。
平良朝敬CEO(以下、平良) 経済人として、問いたいことがあります。「働く」とはなんでしょう。まず生活していくため。これはもちろんです。社会人として夢と希望と誇りを持って、社会貢献することではないでしょうか。戦争を手助けする仕事に誇り持てますか。子や孫に、父や母は立派な仕事をしていると言えますか。言えないと、私は思います。
私はちょうど52年間、父といっしょに観光業で今日までやってきました。観光業は、外貨獲得ナンバーワン、自立して開発してきました。観光は平和産業です。紛争のあるところには観光客は来ません。オスプレイが100機以上、北部の上空を飛び交うところをリゾート地と言えますか。そこに、楽園はありますか。うるさいばかりで、危険です。アジアから見た沖縄県というのは、リゾート地、アジアの楽園です。辺野古受け入れは、リゾート地、楽園の放棄になる。沖縄県は、観光立県といっている一方で、標的になる軍事基地を後押ししている。本当に矛盾だらけでまったくポリシーがない。だから私もワジワジーして(憤って)いる。
<シュワブ全面返還で、軍雇用の23倍の雇用生む>
――キャンプ・シュワブ返還を求めましたが・・・。
平良 私は、辺野古の滑走路を造らせるか造らせないかの話ではなくて、なぜキャンプ・シュワブの返還請求をしないのか、不思議でたまらなかった。そこで、稲嶺市長に、1つお願いをしました。将来の子どもたちに夢と希望を与える宝物をつくっていただきたい。それは何かと言うと、キャンプ・シュワブの全面返還です。目を閉じて、私が言うことを想像してほしい。キャンプ・シュワブは625万坪の壮大な土地がある。そこには青い海が広がり、ジュゴンが生息しています。希少生物が生息しています。その環境は、アジア屈指の岬です。そこにリゾートホテルが立ち並び、リゾートマンションが建ち、人々が往来しています。まさに楽園です。ヌチドゥタカラ(命こそ宝)です。辺野古移設によって未来永劫に軍事要塞化される岬とは、天国と地獄の差があります。
軍雇用は、普天間基地で195人が働いています。キャンプ・シュワブで、243人。それに対し、わたしのホテルの雇用は1,400人います。そのうち名護市在住が218人います。それから、敷地面積は、かりゆしリゾートはキャンプ・シュワブの1.3%しかありません。普天間とシュワブを単純に足して438人。ホテルは、1,000ルームあると2,000人の雇用を生み出す。シュワブは、658万坪ですから、たとえばの話、1,000ルームの規模のホテルが約200余り建つ計算です。仮にホテルが10棟建ったとして、2万人の雇用を生む。それは、軍雇用の22.8倍の雇用が生まれるということです。
北谷町を見てください、那覇の新都心の返還跡地の発展を見てください。基地が返還して栄えた事例が、世界にはいくらでもあります。私は、夢物語を言っているのではない。現実を語っている。私が開発した、かりゆしリゾートは敷地面積が8万坪、そこに、オーシャンスパとエグゼス、マリオットリゾートの3つホテルがあり、あわせて1,000ルームあり、完全雇用で2,000人を超える雇用を行なっている。シュワブは78倍の面積を持っていて、軍雇用は243人。どちらが地域発展できるか、夢を持てるか。子や孫のためにどちらを選びますか。
キャンプ・シュワブは、辺野古の人たちが容認して基地が造られた。彼らも苦渋の選択をした。仕事もないし、仕方がないので、基地を受け入れて、土地代をもらってということをしてきた。でも、今辺野古に造らすことが沖縄にとっていいのかどうか、しっかり考えた方がいい。夢というのは必ず実現しますから。僕は世界あちこちに行って見て、キャンプ・シュワブの先というのは最後に残された岬だと思っています。軍用地だったから開発されずに生物多様性に富む自然が残った。返還されれば、アジアのトップのリゾート地になります。
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