(株)博多座(福岡市博多区、芦塚良美社長)は16日、博多座開場15周年記念4月公演「武田鉄矢・前川清 特別公演」の記者会見を、福岡市内の「福岡 ヤフオク!ドーム」で開いた。会見に先駆けて同社の芦塚日出美社長が、「武田、前川両氏の共演によって九州人による九州ならではの公演が誕生する。博多座15周年の節目に相応しい自主制作作品になるだろう」と挨拶を述べた。
<前川氏と武田氏は好バッテリーの関係>
同社によると、同地で記者会見をしたのは、特別公演第一部の舞台の演目名「鷹と雀のものがたり」の「鷹」を「ホークス」に掛けたことによる。前川清、武田鉄矢の両氏も野球選手のごとく一塁側ベンチから会見の舞台へ向かった。それは両氏が、ピッチャー、キャッチャーの役割を分担していることをも示していた。記者会見上では両氏に、バッテリーとしての役割分担について質問が出た。これにはまず武田氏が「キャッチャー役は自分、野村克也元監督からもキャッチャー的役者と言われた」と答え、続いて前川氏は、「武田さんがキャッチャーとして構えてくれているから、自分は自由に失敗できる」と、ゆるキャラ独特の持ち味で答え、場を和ませた。
物語は、武田氏扮する「鷹」のように強い剣豪と、前川氏扮する「雀」のように弱い藩士が対立するドラマ。途中で立場が入れ替わり人間の多面性が表現されるなど、笑いあり涙ありの活劇となりそうだ。
<観客と一緒に舞台を盛り上げたい>
続いて芝居の演目が決定した背景について、武田氏が「原作は山本周五郎作品の『ひとごろし』。この作品を選んだのは自分。以前の博多座自主制作作品『101回目のプロポーズ』でも周五郎作品の『余情』を下敷きにした。そのとき『ひとごろし』についても名を挙げていたことを覚えてくれていた博多座制作スタッフが、今回の自主制作で原作にすることを提案してくれた」と説明。思い入れがある同作品の上演にあたって、武田氏は脚本家、演出家と、様々な舞台演出について論議をしている真っ最中だと述べた。
舞台は観客との一体感が楽しめるようなアイディアが満載となりそうだが、なかには前川氏が「初耳だ」と驚くようなものも。しかし前川氏は「武田さんがしっかりと中身や筋、組み立てなどを決めてくれたら、本番時にお客様と一緒に作り上げていくのが自分の役目」と、息の合った応答を見せた。
<博多の街には深い物語がある>
九州を代表するスターである武田、前川両氏にとって博多座は、特別な思い入れがあるようだ。前川氏は「博多座は日本一の場所。私にとっては心休まる一番良い環境の劇場。舞台に立てば自分より高い位置にある劇場として、良い意味で緊張する」、武田氏は「ここで芝居や歌を歌うとき常にメイドイン九州をやりたいと思っている。観客も『雑餉隈』など地元の地名が出るだけで大喝采して応えてくれるなど、ノリがいい」と思いを語った。とくに武田氏は「地域性がある博多の街には深い物語がある」ことを強調。「博多のローカル性を物語にしていきたい」と熱意を込めた。
第2部では、前川清とクールフォーと称し、海援隊に前川氏の長男、紘毅氏を加えたユニットで歌謡ショーを行なう。武田氏が博多座のために書き下ろした新曲も披露される楽しい一幕となりそうだ。
■『武田鉄矢・前川清 特別公演』
<公演期間>
2014年4月6日(日)~29日(火・祝)
<プログラム>
第1部:「鷹と雀のものがたり」(原作/山本周五郎「ひとごろし」より)
脚本/池田政之、演出/金子良次
第2部:「前川清とクールフォー(海援隊+1)オン・ステージ」
<出演者>
武田鉄矢、前川清 野村真美、小林綾子、遠藤久美子、海援隊、前川紘毅
<制 作>
博多座
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