<沖縄戦、弟は満1歳で亡くなった>
――県議会で、検定意見の撤回を求める意見書の取り扱いがこう着状態になったとき、沖縄戦の体験を委員会で話されましたね。
仲里利信氏(以下、仲里) それまで話したことはなかったが、私の戦争体験が役に立てばと思って、初めて話した。父は、近衛兵で、軍国主義の先頭にいる人で、大変な教育を受けた。通信隊に入っていた父が、1945年2月に突然現れて、「この戦さは、負け戦だ。ここにいると危ない。やんばる(沖縄本島北部の総称)に行け」と言って、父が手配した軍用車で宜野座に疎開した。父は、自決して亡くなった。疎開先の家に間借りしていたが、4月ごろ、艦砲射撃が始まり、家にいたら大変だとガマに逃げた。3歳の妹といとこが、暗闇が怖くて泣きじゃくっていた。そこに日本兵3人が入ってきて、白いおむすびの中に毒を入れて『これを食べさせろ』と。2人を殺すより、家族全員死ぬときはいっしょだということで家族でガマを出た。家族が隠れる壕を掘るために、母親、弟との3人が山に入り、残りの家族とは離れ離れになった。別れた家族を探して、恩納村、宜野座村、金武町を捜し歩いて、やっと再会できたものの、その間、食べ物は何もなく、母は母乳が出なくなり、弟は満1歳で亡くなった。戦争とはこういうものだ。沖縄の地上戦は、本土防衛の引き延ばしの一環だった。
<対中国の最前線、際限ない基地増強に危機感>
――辺野古移設受け入れによる沖縄の基地固定化・強化を警告していますが・・・。
仲里 安倍政権のやり方は戦争まっしぐらだ。安倍政権は、新防衛大綱・中期防衛力整備で、沖縄を「安全保障上極めて重要な位置」とした。尖閣諸島をめぐって中国との対立に対処するため、県内の自衛隊基地の強化が持ち込まれた。5年計画で24兆6,400億円、水陸両用車52両、オスプレイ17機、兵員増強、その7~8割は沖縄に配備されるとみられる。
辺野古を認めれば、沖縄は際限なく基地化される。米軍は、「沖縄が基地を認めたんだから」と解釈して、増強を止めることはできない。辺野古に基地を造ってしまうと米軍撤退は不可能。耐用年数200年。知事の承認で、菅官房長官は「日米同盟は向こう50年安泰だ」と述べた。沖縄は米軍の軍事植民地として放置された。主権もない、民主主義もない。今回の基地建設はなんとしても止めないといけない。
ヤマト(日本政府)が沖縄に基地を置く理由を、鳩山首相(当時)は、「学べば学ぶほど海兵隊の抑止力がわかった」と述べたが、森本敏・元防衛大臣は、「軍事的、抑止力とか地理的優位性は別だ。あるのは、政治的理由だ」としている。
軍事アナリストの小川和久氏は、「米軍が沖縄から引き揚げたら日本防衛にいくら必要か」と問われて、「30兆円かかる」と答えている。今、日本の防衛費は約5兆円だ。25兆円は、沖縄に基地があるため、支出しないで済んでいる。たかが3,000億円で基地を引き受ける必要はまったくない。
ヤマトいいなりの自民党の連中をつぶして、沖縄のアイデンティティーを示すときだ。名護市長選では、稲嶺進市長に、沖縄から米軍基地を撤去する先頭に立ってほしいという気持ちで、応援している。
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