2013年は、5月に福岡市の人口が150万人を突破したほか、景気動向指数がプラスに転じるなど、福岡経済界にも明るい兆しが見え始めた。地場経済を支える中小企業の牽引役である福岡商工会議所は、そうした地場の景気浮揚に向けての大きな役割を担っている。コカ・コーラウエスト(株)の代表取締役会長であり、同会の会頭を務める末吉紀雄氏は、新たな2014年をどのように見ているのか、話を聞いた。
<景気回復への「願望」が、次第に「期待」へ>
――2013年は、5月に福岡市の人口が150万人を突破し、都市としての福岡市の勢いが感じられた1年だったと思います。また、福岡商工会議所でまとめられております2013年7~9月の景況感調査では、景気動向指数が22年ぶりにプラスに転じるなど、地元景気動向にも明るい兆しがうかがえます。そんな2013年の福岡経済界を振り返って、いかがでしたでしょうか。
末吉紀雄氏(以下、末吉) 昨年(13年)の新年祝賀会で「株価は13,000円に迫りそうな予感」と話したときに笑いが漏れたように、政権交代によって株価も上り調子になってきていたものの、1年前はまだ景気回復については「願望」に過ぎませんでした。それが、やがてアベノミクスによって全体としては明るさが見られ、次第に「期待」へと変わっていきました。先ほどおっしゃったように、福岡商工会議所が会員企業を対象に行なっている「経営動向調査」で22年ぶりにプラス値を記録しましたが、中小企業にも広く改善の動きが見られることは、大変喜ばしく思います。
しかしながら、福岡市の産業構造を見ると、市内総生産の約6割を卸売・小売業、サービス業で占めており、事業所数の4割強が卸売・小売業、飲食業となっています。そして、これらの業種では円安効果などのプラス面よりも、原材料価格上昇などのマイナス面が先に出ており、依然としてまだら模様と言わざるを得ません。
――その2013年の福岡経済界の動きのなかで、福岡商工会議所としては商工業の活性化や街づくりの促進のなかで、地域や会員のニーズを踏まえた活動を実施されてきたと思います。そこで改めまして、福岡商工会議所の役割や2013年の手ごたえについては、どのようにお感じでしょうか。
末吉 福岡商工会議所の定款第1条には、「本商工会議所は、地区内における商工業者の共同社会を基盤とし...」とあります。商工会議所は、会員企業の集合体で成り立っている組織ですから、その会員の意思の基に活動することが、商工会議所の存在意義にほかなりません。そのため、地域や商工業者の声を反映した活動を行なうためにも、できるだけ多くの商工業者の方々に会員になっていただき、会議所運営・事業にご参加いただけるような商工会議所にしていきたいと考えています。
会議所運営の基盤となる会員については、役員・議員・職員が一体となって入会勧奨に取り組んでいくほか、「会員入会キャンペーン」や「新入会員交流会」などを実施しており、定めた目標にまでは至っていないものの、3年ほど微減していた会員数は、現時点では増加に転じる見込みとなっています。また、会員の福利厚生に貢献する「生命共済制度」も減少傾向に歯止めをかける見込みです。
現在、各センターが中心となって、日頃、商工会議所まで足を運ぶことが難しい小規模事業者の方々にも、できるだけすべての事業所への訪問を行なっており、「困ったことはございませんか」と声かけをさせていただいたり、会議所の取り組みを紹介したりしています。こうした取り組みが、退会件数の減少にもつながっているのではないでしょうか。
まだまだ十分ではありませんが、こうした取り組みを継続していくことが大事だと考えています。
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<プロフィール>
末吉 紀雄(すえよし・のりお)
1945年、福岡県生まれ。67年に西南学院大学商学部卒業後、日米コカ・コーラボトリング(株)(現コカ・コーラウエスト(株))入社。2002年に代表取締役社長兼CEOに就任。10年1月より代表取締役会長。2011年11月に、福岡商工会議所会頭に就任した。
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