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健康食品の新たな表示・広告ガイドラインのポイント~第5回
健康・医療
2014年1月20日 10:41

<ステマ・口コミも規制対象に>
 旧ガイドラインが策定されたのは2003年8月。その後、新たなマーケティング手法として「ステルスマーケティング」が普及するとともに、インターネット上では「口コミサイト」が増えてきた。

 ステルスマーケティング(ステマ)とは、広告・宣伝と気づかれないように、事業者が自社の商品・サービスを宣伝したり、口コミ情報を発信したりすること。一般消費者などを装って行なわれる。また、口コミサイトには、商品・サービスを利用した消費者からその評価が投稿される。口コミサイトを訪問した消費者は、サイトの情報を参考に商品購入を考えることになる。このため、事業者が自社の商品について、都合のよい評価を投稿するケースも少なくない。ステマも口コミサイトも、いわゆる「サクラ」「やらせ」との線引きがあいまいと問題視されている。

 新ガイドラインは、こうした新たな手法の広告に対応するために、健増法の「違反行為(虚偽誇大広告)の要件」で明記している。「購入者個人による自発的な表明であるかのようになされる場合」や「健康保持増進効果等に関する書籍の形態をとっている場合」は、通常の広告よりも消費者の商品選択に与える影響が大きいと指摘。これらについても、広告内容が事実と異なる場合には、「虚偽誇大広告」の要件に該当するとしている。

<指導の内容を公表>
 健増法に基づく指導事例を公表したことも、新ガイドラインの特徴だ。指導の内容は未公表のため、これまで明らかにされてこなかった。事例の公表により、問題となる表示・広告について、関係者に理解を深めてもらうことが狙いという。

 公表された事例の一部をみてみる。
・J社は健康食品の店頭POPで「老化防止」「疲労回復」などと表示していたが、表示の裏づけとなる合理的根拠はなかった。
・L社は健康食品の容器包装に、「奇跡の薬用米。各種ミネラル・ビタミンが豊富に含まれ」などと表示していたが、表示の裏づけとなる合理的根拠はなかった。
・M社は健康食品の新聞折り込みチラシで「『血管老化』を防止し、血栓等を取り除く」「血管の柔らかさを改善する特許成分配合」などと表示していたが、表示の裏づけとなる合理的根拠はなかった。
以上のように、社名や商品名をふせながら、15件の代表的な事例を公表している。

 全5回の連載によって、健康食品の新たな表示・広告ガイドラインのポイントを取り上げた。ここまで見てきたように、新ガイドラインは景表法と健増法のそれぞれの強みを発揮できるように、判断基準を明確にした。健康食品企業やメディアも新ガイドラインを理解し、順守することが求められている。

(了)
【木村 祐作】

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