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福岡の活力を引き出し、商工業者と地域の相互の発展を(2)~福岡商工会議所・末吉紀雄会頭
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2014年1月20日 07:00

<大河ドラマを起爆剤に、街全体を盛り上げる>
 ――2014年には、いよいよNHKの大河ドラマで「軍師官兵衛」の放映が開始されます。福岡商工会議所でも、県や市とともに「『軍師官兵衛』福岡プロジェクト協議会」を立ち上げるなどされて、「軍師官兵衛」を観光都市・福岡の起爆剤の1つとして、行政と連携しながら、さらなる観光振興を図っていくとお聞きしています。具体的な施策等について、お聞かせください。

大河ドラマ 軍師官兵衛 のぼり 末吉紀雄氏(以下、末吉) 県や市と立ち上げた同協議会では、福岡を全国にPRし、多くの観光客に来福していただくために、「PRの実施」や「まちなかの演出」などを中心に活動を行なっています。具体的には、「軍師官兵衛」をPRする「旗・のぼり」を作成し、公共スペースや観光施設などで掲げるほか、お土産品などを取り扱う事業者などにも使ってもらうなどして、市民の意識高揚と街全体の盛り上げを図っています。この旗・のぼりは、当初は2,000本の予定でしたが、各方面からの引き合いが思いのほか多く、さらに追加で3,000本を作成・掲出することになるなど、盛り上がりが広まっています。また、ほかに「ふくおか官兵衛くん」というキャラクターも作成しています。こちらもお土産やグッズなどに使っていただくことで、福岡のPRとともに、事業者の販路拡大・売上拡大に貢献することでしょう。
 やはり今回の「軍師官兵衛」の放映は、福岡の観光振興における起爆剤の1つとして期待しています。福岡商工会議所も行政と連携して、観光振興に取り組んでいきたいと思います。

<街の活性化に貢献し、事業者が活躍できる舞台を>
 ――先に述べましたように、ここ福岡市の地元景気動向にも、少しずつ明るい兆しが見え始めているように思います。14年の福岡経済界の動向については、どのようにお考えでしょうか。

 末吉 経済情勢は好転しつつありますが、電力や消費税の問題も抱えており、日本経済は分水嶺にあります。今後、経済・社会の変化をどう乗り越えていくか、重要な時期にあると言えるでしょう。しかし、こうしたときにこそ創意工夫を凝らし、地域経済と企業が成長を図れるよう、「躍進」の年となる会議所活動に取り組んでいきたいと思います。
 やはり、一番の心配は「消費税」です。駆け込み需要後の個人消費の反動が懸念されますが、1997年の前回引き上げ時の状況を踏まえてさまざまな対策が講じられており、早期に通常通りに戻ることを期待しています。
 また、消費税引き上げ分を円滑に価格転嫁できるかが大きな課題です。本来、消費税は消費者が負担すべきものであるにもかかわらず、アンケート調査では、引き上げ後に「すべて転嫁できる」との回答が4割程度でした。さらに「わからない」も含めると、十分に転嫁できないとの回答が多くを占める結果となっています。一部では、「引き上げを見込んだ値引き要請がある」との声も上がっています。中小企業の平均営業利益率は2%であることからも、価格転嫁が進まない場合、中小企業は利益が大幅に失われ、死活問題となってしまいます。適正に価格転嫁できずに、取引上の立場の弱い中小企業にしわ寄せがおよぶことを強く懸念しています。

 ――そのなかで福岡商工会議所は、14年はどのようなことに取り組まれていかれますか。

 末吉 福岡市の産業構造を見ても、人の集積とそれにともなう消費を促進することが福岡の発展・成長にとっては重要となります。そのため、福岡の強みを活かした集客促進から、消費の拡大を通じた経済・産業の振興へつなげていきます。

faco.jpg たとえば、09年から実施している「福岡アジアコレクション(FACo)」は、過去に5回開催していますが、毎回満員の観客を動員するなど人気を博しており、定着してきた感があります。また、昨年から開催し、今年で2回目となる「ファッションウィーク福岡(FWF)」では、商業施設とも一緒になって新たにワーキンググループを組織し、一層の集客力・販売力強化を図っています。これらの取り組みを継続的に実施することで、「ファッションの街・ショッピングの街『福岡』」を国内外に定着させ、多くのお客さまを呼び込んで街全体を盛り上げ、地域への波及効果を高めていきます。

 また福岡の強みとして、豊かな食文化と優れた品質を誇る「食」の分野も忘れてはなりません。「食」産業を振興していくことは、生産(1次)から加工(2次)、販売・サービス(3次)までの幅広い業種の活性化に資するだけでなく、その特徴や魅力を情報発信していくことで観光面での集客強化にもつながり、地域経済への貢献も大きいのです。そのため、県内の各商工会議所と連携しながら、県内の「食」を幅広く集め、福岡の食の魅力を身近に体験できるイベント「食の都ふくおか2014」を今年3月に開催する予定です。このように、FACoやFWF、食イベントなどを通して街の活性化に貢献し、事業者が活躍できる舞台をつくっていくことは、商工会議所の大きな役割の1つと言えるでしょう。

 ほかには、空港や港湾・道路などのインフラは、国内外との人・モノ・情報の交流を活発化させるとともに、競争力強化やビジネスチャンス創出につながり、今後の成長を加速させる原動力となります。そのため、福岡空港の滑走路増設の早期整備に向けて国への働き掛けを強化していくなど、中長期的な視点に立ち、アジアの拠点都市として成長するための都市づくりを行政とも連携しながら取り組んでいきます。

(つづく)
【文・構成:坂田 憲治】

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<プロフィール>
sueyosi_pr.jpg末吉 紀雄(すえよし・のりお)
1945年、福岡県生まれ。67年に西南学院大学商学部卒業後、日米コカ・コーラボトリング(株)(現コカ・コーラウエスト(株))入社。2002年に代表取締役社長兼CEOに就任。10年1月より代表取締役会長。2011年11月に、福岡商工会議所会頭に就任した。


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