＜果敢にチャレンジする商工業者の成長を後押し＞
　――福岡市がさらに発展していくためには、地場の中小企業の活力こそが何よりの原動力になります。福岡商工会議所は、それら地域経済を支えている中小企業の牽引役を担っておられ、2013年度の事業計画では「チャレンジする商工業者の成長実現に向けた取り組み」を挙げておられていましたが、その手ごたえはいかがでしたか。

　末吉紀雄氏（以下、末吉）　昨年、商工会議所で実施した会員アンケートでは、経営上の問題点として売上の低下や市場の伸び悩みといった「販売」に関する事項を挙げる事業者が９割に上る結果となりました。また、先に述べた福岡市の産業構造も踏まえると、「福岡市域への集客促進とそれにともなう消費喚起を図ることを通じ、事業者の販売拡大に繋げること」が、重要な課題であると言えます。
　そうした考えのもと、商工業者と地域の相互の発展を目指し、「福岡の活力を引き出す」と同時に、「商工業者の成長と経営安定」に向けての取り組みを行ないました。
　たとえば、大手流通業などの仕入れ担当者を招聘して行なう商談会では、４月からの８カ月間で500件以上の商談を仲介しただけでなく、課題や問題点をフィードバックできる形式を定着させ、事業者の販路開拓や商品改善・開発に貢献しました。また、初めて実施した「ファッションウィーク福岡（FWF）」では、街全体を巨大なショッピングモールに見立て、内外から多くのお客さまを呼び込んでいます。まだ課題はあるものの、「来館者が増えた」「商業施設全体の売上が増えた」との一定の成果を得ており、今後の布石を打つことができております。ほかには「食べ飲み歩き」イベントを、新たに香椎や御供所地区も加え、市内７カ所で商店街・商店の方々と一体となって実施しました。前年を超えるチケット売上を記録し、商店街の賑わい創出と消費促進に貢献しております。

　これらは小さな取り組みの一例ですが、こうした小さな取り組みの積み重ねが街を明るくし、集客促進や消費喚起、商工業者の活性化につながるという好循環を生んでいきます。商工会議所としては、引き続き、地域や会員のニーズを踏まえた活動を継続的に実施し、成果を上げるよう取り組んでまいります。

　――14年は地場中小企業の成長・発展に向けて、どのような施策を打っていかれますか。

　末吉　企業の創業は、雇用の創出効果が高く、新たな需要の源泉にもなります。創業率が高いという福岡市の特性を踏まえ、創業に興味を持つ層の掘り起こしと起業ノウハウの習得、さらに創業後のフォローまでを含めた総合的な創業支援を行なっていきます。
　また、商工業者、とりわけ中小企業は規模や従業員数、経営志向、事業環境などがさまざまで、支援ニーズもそれぞれ異なっています。そのため、「拡大期」「成熟期」といった各段階に応じた経営改善支援に取り組んでいきます。さらに、中小企業の円滑な価格転嫁を支援するため、13年４月に設置した転嫁相談窓口でさまざまな相談に対応するほか、各種セミナーの開催、事業者の実態を踏まえた転嫁対策などの意見・要望活動を精力的に行ないます。

　国の中小企業政策は、これまでの「大企業に対して『弱者』で『救済』してもらう存在」から、『成長』を重視したものに変わってきています。こうしたなか福岡商工会議所は、国から、12年に施行された中小企業経営力強化支援法に基づく「経営革新等支援機関」として認定されました。今後も会議所自らの経営支援力を高めると同時に、全体のコーディネートを図りながら専門家等の専門能力を活用し、また、国の中小企業支援策を活用してもらうことなどを通じて、果敢にチャレンジする商工業者の成長を後押ししていきます。

　――最後になりますが、人口150万人を突破し、これからますます発展していくであろう福岡市に対して、今年はどのようなことを期待されますか。

　末吉　国際化や経済のグローバル化が進展するなか、福岡においては、地理的・歴史的な利点を背景に、アジア地域との人的・物的交流が近年、ますます活発になっています。今後は、成長著しいアジアとの連携を強めて長期的な協力関係を築き、アジア地域の需要を積極的に取り込んでいく活動を続けていくことが重要になってくるでしょう。福岡市には、引き続き中長期的な視点に立ち、アジアの拠点都市として成長するための都市づくりに取り組んでいただくことを期待しています。
　福岡商工会議所も、福岡空港の滑走路増設の早期整備に向けて国への働き掛けを強化するなど、行政とも連携しながら取り組んでいきたいと思います。

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