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処方箋薬ネット販売訴訟~ケンコーコム・後藤社長に聞く(前)
健康・医療
2014年1月23日 10:16

 一般用医薬品(OTC薬)の新たな販売ルールを定めた「薬事法及び薬剤師法の一部を改正する法律案」が2013年12月5日、参院本会議で成立し13日に公布された。国は細部を政令・通知で固めて今春の施行を目指している。これに対して(株)ケンコーコム(東京オフィス:港区、後藤玄利社長)は、同年11月12日に処方せんを販売する権利を求めて国を提訴、14年1月14日に1回目の裁判が行なわれた。同社代表取締役の後藤玄利氏(以下、後藤)に今後の取り組みと裁判の見通しについて聞いた。

<処方箋薬とOTC・要指導薬は性質が異なる>
 ――OTC薬のインターネット販売がほぼ解禁されました。

(株)ケンコーコム 後藤玄利社長 後藤 これについては、良い面と悪い面の両面があります。しっかりしたルールの下で、インターネット販売が解禁されることになったのは良いことなのですが、一方で、28品目と処方箋医薬品(処方箋薬)がしっかりした根拠もなく禁止されてしまいました。とくに処方箋薬については議論もなく禁止されてしまいましたが、これはじつに由々しいことです。
 2013年に行なわれた検討会は、そもそも、一般用医薬品に焦点を絞って話をするという約束事が、座長も含め、構成員全員で確認されていました。にもかかわらず、厚生労働省(以下、厚労省)はこのたび、処方箋薬をどうするかという諮問をどこにも行なわず、どさくさ紛れに禁止したものと認識しています。

 厚労省は改正薬事法において、インターネット販売を禁止した28品目、すなわち、スイッチ直後品目と劇薬指定品目を合わせて「要指導医薬品」というカテゴリーを新たにつくりました。厚労省は処方箋からOTC薬に落としてきた要指導医薬品を禁止するという以上、整合性の上で、要指導医薬品よりもリスクの高い処方箋薬は当然禁止しなければならないから禁止すると考えているようです。一般用医薬品も要指導医薬品も、もともとセルフメディケーションの観点から消費者自らが選ぶものです。薬局医薬品のなかでも処方箋薬は医師が診察の上で処方するものですから、一般用医薬品・要指導医薬品とは性質が違うものです。したがってネット販売がだめだといわれる筋合いのものではないと思います。

 ――要指導医薬品を用いた厚労省のトリックということでしょうか。

 後藤 要指導医薬品という防波堤をつくることによって、それよりもリスクの高い処方箋薬のネット調剤を禁止するための方便に使っているということだと思います。方便自体が有効かどうかというところもあると思います。要するに処方箋にもとづいて処方される医薬品と、消費者が選んで購入する医薬品のリスクが同じかどうかというのは、本来ならば議論しないといけなかったのですが、そこをすっ飛ばしてしまったのです。

<改正薬事法で消費者のメリットを閉ざした厚労省>
 ――今回、OTC薬全面解禁への道が閉ざされた時点で、突然、OTC薬の全面解禁ではなく処方箋薬の販売権利の確認を求めて提訴された点について、やや唐突な印象を抱きましたが。

 後藤 厚労省が唐突に禁止してきたから、こちらもやむを得ず訴訟提起に至りました。もともと処方箋薬のネット調剤の準備は進めていました。消費者のメリットをいろいろと考えていくと、今後、2年後をめどに電子処方箋が普及に向けて大きく動き出すのですが、電子処方箋が出たときにどのような世界になるか――。今は医者に通って処方箋を出してもらい、薬局に寄って調剤してもらうという流れです。インターネットを使うことによるメリットについては、現在のところ、特別に大きなニーズがあるとは思いません。ただし電子処方箋が実現すれば、病院で処方箋が出て、会計を済ませた後で、その処方箋を希望の薬局にインターネットを利用して転送してもらうことが可能になります。ですから、その場で薬をもらう必要はなく、自宅の近所の薬局で受け取ることができるのです。ビジネスマンはそのままオフィスに戻って仕事もできるし、主婦は町で買物を済ませて自宅の近所の薬局で薬を受け取ればいいし、その後、電話やメール、テレビ電話などで服薬指導がされるという世界はありだと思っています。今では即日配達や翌日配達が普通になっていますから、自宅に帰れば薬が届いています。

 ところが今回、厚労省は何の議論もなしに、ネット調剤は禁止ということでその道を閉ざしてしまった。電子処方箋が出てきた時代を見据えて、これからじっくり取り組もうと思っていたところ、その流れをせき止められたという感じです。これで患者側は電子処方箋によるメリットを享受できなくなるでしょう。唐突に禁止してきたために提訴せざるを得なかったのです。
 医療情報ネットワーク基盤検討会では、2013年9月30日に「電子処方箋の実現に向けた工程表」を出しており、14年から15年にかけて実証後の取り組みやガイドラインづくりを行ない、実現に向けてさまざまな法令の手当てをする段取りになっていましたが、そのような手当てをする前にネット調剤を禁止してしまったということになります。

(つづく)
【聞き手/文・構成:田代 宏】

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