――経営効率化については。
細川 交通局職員定数は、現在572名です。鉄道事業法は、鉄道事業の安全に関わる業務など根幹業務については、事業者の責任で行なわなければならないと定めています。根幹以外の業務については、国の許可を得て、アウトソーシングすることができます。交通局では従前からアウトソーシングに取り組んでおり、ワンマン運転については、全国の公営地下鉄事業に先駆け1984年度から実施しています。
駅業務についても、管理業務を除く運営業務について、箱崎線、七隈線は全駅民間委託しており、駅数ベースでの委託割合(23駅/35駅、13年8月時点)は全国トップで、さらに今後も委託を拡大していく方針です。ただ、交通局として管理業務のノウハウを確保しておく必要もあるので、一定割合の直営駅は残していく必要はあります。
――七隈線延伸事業の意義は。
細川 快適な生活を支えるのが地下鉄の役割です。先ほど申し上げた交通課題の解消、CO2の削減のほか、都心部の回遊性確保、まちづくりの促進という点から大きな意義があると考えています。
交通局の企業債残高は、ピークは3,680億円(04年度)ありましたが、年々徐々に減らしてきており、現在は3,000億円を切っています。この8年間で残高を2割程度減らしてまいりました。今後、七隈線延伸事業にともない、新たな企業債を発行していくことになりますが、発行した場合でも毎年50億円以上の企業債残高の減少を見込んでいます。
また、延伸区間の開業により、料金収入が増え、収支は好転すると予測しています。今回の延伸は、地下鉄事業全体にとってもプラスになると考えています。
――さらなる延伸についての見通しは。
細川 七隈線には天神南駅から中洲川端駅を経由してウォーターフロント方面に至るルートと、薬院駅で分岐して博多駅へ至るルートが構想としてありますが、採算性などの課題があることから、現時点でこれに着手するかどうか結論は出ていません。
将来のまちづくりの進展や、社会情勢などの推移を見ながら、長期的視点に立って検討を行なっていくことになります。福岡市では現在、ウォーターフロント地域の開発に力を入れています。この動向にも注視していく必要があるでしょう。
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