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処方箋薬ネット販売訴訟~ケンコーコムの後藤社長に聞く(中)
健康・医療
2014年1月24日 07:00

<突然の禁止 厚労省に裏切られた>

 ――裁判が始まりました。法廷では、あくまでも現行の薬事法にかかわる地位確認請求と主張されました。

 後藤 はい、そうです。本当はこういうかたちで訴訟を起こしたくはなかったのです。
 最高裁で違憲判決が出たのが1年前ですが、薬事法とネット販売を禁止している省令の関係は、OTC薬と医療用医薬品でまったく同じ構造になっています。OTC薬で薬事法から省令に対する委任がないのであれば、それとまったく同じ構造をしている医療用医薬品に関しても委任がないというのはわかっていました。

 ですから、本当に勝ちを取りに行くとすれば、最高裁の違憲判決が出た後ならいつでもできたのです。なぜやらなかったかというと、勝訴した直後から、原告のウェルネットと弊社だけではなく、なし崩し的にインターネットによる医薬品販売が広がり混乱しました。そうするとルールづくりを急がなければなりません。そういう事態のなかで、医療用医薬品で再び国を提訴すればOTC薬のカオスが続いてしまうため、ルールづくりに全力投球してOTC薬の問題をいったん収束させたかったのです。

(株)ケンコーコム 後藤玄利社長 処方箋薬については、販売を禁止する省令がありますから、実際には販売はできない状態にあるのです。そしてその省令については、誰も訴訟も起こしていない状況でした。ですから、法律で禁止しなくても販売はできないことになっています。
 まずはOTC薬の販売ルールをつくり、それから処方箋薬の販売ルールをつくりましょうとずっと厚労省に投げかけていたのです。そうすれば別にこの件に関しては訴訟を起こす必要もなかったのです。そもそも現在の薬事法では処方箋薬の販売は禁止していないのですから、ルールづくりをきちんとやった後で省令を改正すれば、法律で禁止する必要もありません。ですから、省令を改正すればいいのではないかと厚労省には話してきたつもりです。厚労省側も、「処方箋となるとややこしくなるからそこのところを話すのはやめましょう」と言っていました。
 ところが突然とってつけたように、(改正薬事法によって)処方箋薬のネット販売は法律で禁止ということにされましたので、それを聞いてあわてて提訴したというのが実際です。そういう意味では裏切られた思いです。

 ――裁判の見通しはいかがですか。

 後藤 正々堂々とやればこちらが勝つのは目に見えています。ボクシングにたとえれば、厚労省はボロボロになってクリンチしようとしているというのが実際でしょう。パンチを一発食らえばそれで試合は終了するのですが、何とかクリンチを続けようとしている。ただし、改正薬事法が施行されるところまでクリンチし続ければ、彼らの勝ちでしょう。

 ――具体的には。

 後藤 改正法が施行されるまでは「確認の利益」はこちら側にありますが、施行されてしまえば確認の利益はゼロになります。

 ――第1回目の口頭弁論期日では、確認の利益を盾に国が時間稼ぎを行なっているように映りました。

 後藤 厚労省は、当社の訴えが現行法に基づくものであることを理由に現行法では確認の利益があるが、改正法ではないという解釈だったと受け止めています。ただし厳密には、改正法が施行されることが確実なので、現行法に基づくこの訴訟自体の確認の利益がない、と主張したいのではないかと思われます。
 こちらとしてはできるだけ急いで判決まで持ち込みたいと考えています。判決までいけばこちらが勝つことは分かっています。ただし、それはあくまで現行法に対してのことであって、改正薬事法が施行されれば現行法に基づく判決が意味を持たなくなります。そのときはもう一度考え直す必要があります。

<訴訟はあくまで前哨戦 施行後が本丸>

 ――裁判における勝敗にかかわらず、今後も争う構えですか。

 後藤 成長戦略というのは、新技術などが出てきたときに、国民全体でメリットを享受できるよう、よりよい社会を作っていくということではないでしょうか。医薬品に関しても同じです。OTC薬の解禁くらいではたいしたことではないという指摘があったかもしれませんが、処方箋がからむとそうではない。財政圧迫の現状のなかで、ジェネリック医薬品にどのようにして切り替えていくのか、電子処方箋ができるようになったとき、それがネットでも利用できるとなったときに、違う世界が見えてくるのではないかと思います。そうなれば、患者さんにもメリットが見えてくるし、医療費全体の削減にもつながるはずです。そこまで行ったときに初めて、インターネットによる医薬品販売が成長戦略の大きな柱になると思っています。
 OTC薬のネット販売だけではアベノミクスの3本の矢のなかの大きなパーツではないと思っています。その10倍のマーケットを処方箋薬は持っているのです。欧米では処方箋薬のメールオーダーという巨大なマーケットがすでにあります。それをこういうふうに省令で禁止しているというのもいびつでしたが、それを今度は有無を言わさず、法律で禁止してしまうこと自体が成長戦略に大きく逆行することではないでしょうか。

 ネット調剤は医療費抑制にも寄与することができるはずですが、そういうことを既得権益者がむりやりストップさせたというのが今回の構図ではないでしょうか。
 このような事態に対しては徹底的に争っていきます。その第一弾として、現行法に対して提訴しました。これは前哨戦でしかありません。改正法施行前に判決が出れば、前哨戦では明らかに勝てるとの自信を持っていますが、むしろ施行日以降が本丸です。施行後にどのように戦って行くのかを考えねばなりません。長期戦は覚悟しています。OTC薬に比べて処方箋薬の場合ははるかに大きな抵抗勢力があるでしょうが、処方箋薬をネットでも購入できるという選択肢が増えるのは誰もが賛同できる話だと思っています。

 ――ありがとうございました。

(つづく)
【聞き手/文・構成:田代 宏】

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