西日本一の歓楽街・中洲で、老舗スタンドバー「リンドバーグ」を先代から受け継ぎ、今では有名高級クラブ「ロイヤルボックス」も切り盛りしている藤堂和子ママ。支店経済で発展した福岡市で年代関係なく築いてきた人脈が財産となった、全国レベルで有名なママの1人である。2013年は、藤堂ママが企画した、中洲における桜の植樹(桜de笑顔プロジェクト)が話題となった。その説明には、「1000年先も桜が咲き、その存在そのものが街やそこで暮らす人、訪れる人の誇りになるようにこれからも活動していきます」と書かれている。藤堂ママは、中洲の未来をどう見ているのか―。
―― 2013年、藤堂和子ママが企画された「桜de笑顔プロジェクト」がクローズアップされましたね。
藤堂和子ママ(以下、藤堂) 今年は、さらに新しい企画を考えていますよ。今年4月、「さくらまつり」として中洲のママのお祭りを開こうと思っています。1週間ほど期間を決めて、その間に中洲のママにパーティー券を配ってもらいます。
参加するママさんの店にステッカーを貼ってね。飲んだら、空くじナシの抽選券がもらえるとかね。そして最後に、みんなでパーティーをする。最初は30店舗くらいで始めますから、30人ずつ券を売ったら900人くらいになりますよね。パーティーは芸能人も呼んで盛大にやりますよ。
金沢では片町に「金沢まつり」、仙台には「伊達なママの会」が盛り上げています。中洲にも昔、薊(あざみ)さんやみつばちさんがあった頃はありましたが、今はそうしたママの集まりがありません。これを機に、中洲のママの会を新たに立ち上げたいと思っています。
―― 中洲全体の活性化につながるイベントだと思います。
藤堂 ママたちが一斉に集うって素敵じゃないですか。1軒1軒も大切ですけど、やはりこれだけたくさんのお店があれば、綺麗どころが一斉にそろって何かをやった方がいい。
良いか悪いかはやってみないとわかりません。三十数年前に「中洲まつり」が企画された頃は、今ほど盛大ではありませんでした。それでも続けていただいたことで規模が大きくなり、今では5月がどんたく、7月が山笠、8月がJAZZフェスティバル、10月が中洲まつり、そして4月にさくらまつりが加われば、1年中何かしらのイベントがあるまちになります。
―― ママのお祭りで他所の人に、もっと中洲の魅力を知ってほしいですね。
藤堂 県外からお見えになるお客さまは、やはり「仕事よりも楽しみは中洲」です。会社の人が本社の本部長が来るのを知らなくても、私たちが知っているケースもあります。「来月、本部長が来られるでしょ?」と私が言ったら、「何で、知っとうと?」とお客さまが驚く。会社よりも先に私たちに連絡が来るんですね(笑)。
やはり皆さん、中洲が楽しいんですよ。若い時に支店で福岡にいた方とか、その時、付き合っていたお店もあるし。私も45年やっているから、始めた頃30代だったお客さまは70代でもう引退しているけど、同窓会などで中洲で飲んだりされています。中洲に来る楽しみの1つは、昔から『人に会いに来ること』ですから。
―― 一方で、歳をとって引退される経営者も増えていますね。世代交代の時期が来ていると思います。
藤堂 それは仕方ないですよ。私も67歳ですが、やろうと思えば90歳になってもやれます。だけど、自分が元気で、楽しめて、無理がないお店となれば、やはり75歳が大ママとして居座れる限界ではないかと思います。
ロイヤルボックスは、『ご接待』の場でもありますので、10代から50代まで幅広い年代の女の子が40名在籍しています。接待の場では、若い子だけじゃなくて場を取り仕切る年代が必要です。
<SHOP INFORMATION>
航空スタンド リンドバーグ
所在地:福岡市博多区中洲3-2-5
第4ラインビル3F
TEL:092-291-8125
営 業:午後7時〜午前1時
URL:http://www.tohdo-hakata.jp/lindbergh
ロイヤルボックス(会員制クラブ)
所在地:福岡市博多区中洲3-2-12
第3ラインビル7F
TEL:092-272-0541
営 業:午後7時〜0時
URL:http://www.tohdo-hakata.jp/royalbox
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<プロフィール>
長丘 萬月 (ながおか まんげつ)
福岡県生まれ。海上自衛隊、雑誌編集業を経て2009年フリーに転身。危険をいとわず、体を張った取材で蓄積したデータをもとに、働くお父さんたちの「歓楽街の安全・安心な歩き方」をサポート。これまで国内・海外問わず、年間400人以上、10年間で4,000人の風俗関係者を『取材』。現在は、ホーム・タウンである中洲に"ほぼ毎日"出没している。
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