福岡市は、150万人の人口を有し、大阪以西では最大の都市だ。企業や行政機関に加え、大学・専門学校なども多い。若い人が多い活力ある街という印象を持たれている。一方、車で30分も走れば、自然あふれる地域が広がり、退職後は、福岡市に移住したいと考える人も少なくない。しかし、その福岡市の市政はというと、飲酒運転をはじめ市職員の不祥事が絶えず、その根本原因のひとつが、高島宗一郎市長の資質・姿勢にあるという声が高まっている。二元代表である議会はどのように考えているのか。各会派の市議に話を聞いた。
――今年は福岡市長選挙があります。高島市長は二期目を目指しているといわれています。ところがその資質が疑われています。単刀直入に伺って富永市議はどのようにお考えでしょうか。
<市長に対しては是々非々>
富永市議 私は、城南区の高山博光市議、東区の藤本顕憲市議と3名で、福岡維新・無所属の会に所属しています。私たちは、市長に対して是々非々のスタンスです。市長、執行部が出した政策が良かったら賛成しますが、私たちの政策と異なっていれば反対します。私は高島市長と同い年ですが、大都市の問題を抱えるなかでは、よくやっているなとは思います。しかし、150万都市の運営は、高島市長では正直ちょっと難しいのではないでしょうか。
――議会軽視も目立ちます。中国公務員の受け入れ問題など、その典型ですね。
富永市議 安全保障にもかかわる問題を、議会にも諮らず、いきなり決めてくるのは、やはりおかしい。アジアのリーダーという言葉をはき違えていますね。阿部市長、進藤市長のときは、ついていきたいという人が多かった。高島市長はそうではないと職員も言います。やはり軽すぎます。今度の市長選は、どうなるかわからないですね。
<高齢化による孤立死と増える生活保護>
――福岡市の具体的な課題として、若い人が多いですが、高齢化は必ずやって来ると思います。孤独死の問題もあります。東京では昨年、夏の炎天下で、夫婦が亡くなる事件がありました。福岡市でも同じような問題が今後増えるのではないでしょうか。
富永市議 その問題について、一昨年の決算委員会で、独居高齢者に絞って質問をしました。年間に300人くらい起きており、深刻な問題となっています。2030年には、高齢者率が20%に達するといわれています。人口は増えますが、危機感を感じており、高齢者の見回りなどに取り組んでいます。さらに、生活保護費が増え続けており、非常に危惧しています。
――昨年、生活保護支給日に博多区役所を直撃取材しましたが、受給者とみられる若い女性が、職員を怒鳴っている場面に遭遇しました。行政は、自立は促しているし、生活保護は困窮する人の最後のセーフティーネットだと説明していましたが・・・
富永市議 まだ、生活保護の仕組みが確立されていないと正直、思うんですね。もっと若い方は、自立に向けた強制的な仕組みもあっていいのではないか、と思いますね。大阪市は、生活保護受給者の実態をきっちり掴んで、ここには必要あるのかないのかの判断をしています。大阪のような取組みも必要になってきますから、力を入れていきたいと思います。
市長を擁護するわけではありませんが、高島市長の考えとしては、観光客を集めて、福岡の魅力を伝えた上で、企業を誘致して、福岡の人を雇ってもらうということだと思います。ただ、もっと地に足の着いた取り組みが必要ではないかと思います。派手で目立つことは、やりたがりますが、どのくらい成果が上がっているのか・・・。地道な取り組みは見えてきませんね。もっと保護費、扶助費の削減に取り組むなどをやっていただきたいと思います。
――ハローワークへ行っても、40代・50代になると、正社員の求人がありません。高島市長からは、就業問題についての話を聞かないですね。仕事がなく生活保護では財政を圧迫し不公平感を生むばかりです。
富永市議 財政局は、財政支出の削減に向けた取り組みをしていますが、一昨年からの取り組みなので、もっと市長も力を入れるようになると変わってくると思いますが・・・。もう、そろそろ借金減らしも本格的にやらないと、年間300億円ほど減ってはいますが、2兆400、500億ほどあり、ゼロにしようと思えば、60年はかかります。
――市長の発言でよく意味が理解できないのは、スクラップ・アンド・ビルドではなく、ビルド・アンド・スクラップと言っていることです。作ってから壊すというのがいまだに理解できないです。
<なくならない飲酒不祥事>
――県でもそうですが、福岡市でも本庁ではない外郭団体や学校の教師の飲酒に絡む不祥事が多いですね。
富永市議 職員の問題は、研修と言うより採用にあると思います。基準に問題があるのではないでしょうか。教師も連続して飲酒事件がありました。メンタルケアもあるのでしょうが、やはり、研修のあり方に問題があるのだろうと思います。学校の教師の不祥事では、生徒さんや保護者とのトラブルに加え、教育委員会に提出する書類作成が多く、生徒指導にはまれないといいます。そのストレスがお酒に走るのは示しがつかないと思います。県でもそうですが、本庁ではない外郭団体や学校の教師の飲酒に絡む不祥事が多いです。それは出先が市民の目があまりないことがあるのではないでしょうか。本庁は、通勤は地下鉄やバスが多いのですが、学校の先生はどうしても、家庭訪問などもあり、車を使わなければ、仕事ができません。それもあるのだろうと思います。公僕の意識を持った方が少ないです。若い職員の方も両極端で、公僕意識の方と、そうではないエリート意識を持った二通りいます。
――山崎市長のときのDNA運動も吉田市長に変わって、行なわれなくなりました。勘違いしたエリート意識ではない公の使命を持っていただきたいですね。
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