藤堂　若い世代には、みんなに新聞かインターネットを見なさいと教えています。若い子にオンタイムで情報を言っても無理がありますが、お客さまが知らないニュースを私たちが教えると感心されます。とくに私たちの年代には必要ですけど、若い子も、新聞を読む、ネットをする、ゴルフへ行くなどで、何かしらの共通の話題をつくっていくことが大切です。それに若い子は、ゴルフ代もお客さまが払ってくれますから（笑）。
　最初からすべてできる人がいれば、その人は経営者です。私も入って1年は、先輩たちにいろいろ言われていましたよ。私は性格的に、1回言われたら、2度と言わせないようにしました。歯がゆいから。
　お客さまが飲みに行った時に喜ぶのは、顔じゃなくて楽しい会話です。年代が違えば、お互いに知らないこともありますから、それを聞き出す、または教えることもできます。
　大切なのは、頭の善し悪しじゃなくて要領ですね。気働きができる人が成功します。お客さまの手の動きでつまようじ、タバコに手が行けばマッチ、グラスを見て水割りをつくったり。「たまには、ほかのものを飲みますか？」といった提案も必要です。同じ水割りでも「どんな風に飲まれますか？」ってね。私なんかは口が悪いから、「社長、50過ぎたら遅い時間はお湯割りを飲んだ方がいいよ。身体が冷えんから」とかね（笑）。

　―― 今、お店の女の子が一斉に立ちましたね。何かあったんですか？

　藤堂　ああ、あれは、お客さまが来られた時、待機中の子は立ってご挨拶をしなさいと教えているんです。私たちは、やはりほかの店と違うことをやって高いお金をいただいているわけですから。マナーに関してはプロのトレーナーも入れています。
　人はどんなに教えても直らないところがあります。良いところは伸びないし、逆に悪いところが伸びてしまう。しかし、それはその人の資質です。どこかで振り切れたら、悪いところが消えていきます。性格は変わりませんから。
　だから、その性格を、変わらなくてもいいから、お客さまの前とか、従業員同士の時でもグッと飲み込むんです。私なんか、ものすごく気が短いけど、お店を始めてから気が短くなくなりました。最初は我慢でした。「ばかちんが！」って辞めさせたくなってたけど（笑）。
　しかし、「私が主なんだし、全員がすぐできたら全員が経営者。うちの店で働く人はおらんばい」と、そういう気持ちになりました。できない人もいないといけない。経営者がいれば、その人のもとで働く人も必要です。45年やってきてそう思っています。

　―― 2014年はどんな年になってほしいですか？

　藤堂　それは、みんなに儲かってほしいですよ。お金は遣ってもらわないと回りませんから。私もいろんな店に行きますが、お客さまのごちそうもあるけど、私がごちそうする時もあるんです。そうすれば、そこからまたお客さまへとつながっていきます。やはり円でつながっています。角を立てず丸くないとね。

　―― 「さくらまつり」もその"えんつくり"の一環ですね。

　藤堂　私がしとかんと、今後やる人はいないと思うんです。最初は私が陣頭指揮をとって、今後は40代、50代のママたちに継いでもらいたい。若い人たち、次の世代が育っていかないと。「さくらまつり」と春と秋に2度咲く桜を明治通りから国体道路まで植えること。それが私の最後の仕事です。今までこれだけ中洲で儲けさせてくれたわけですから。

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