23日に告示された東京都知事選には、自民党と公明党が推す舛添要一氏、民主党や結いの党が「勝手連」的に応援する細川護煕氏、共産党と社民党が支援する宇都宮健児氏、石原慎太郎氏らが応援する田母神俊雄氏など、16名が出馬した。
各世論調査は舛添氏がリードし、それを追うのが細川氏と宇都宮氏。田母神氏は懸命に追い上げると伝える。舛添氏がリードする理由は、それぞれ130万票と100万票あると言われる自民党と公明党の固定票だ。
重度の障害を持つ非嫡出子への養育費を一方的に月額25万円から8万円に減額して調停中の舛添氏に対して、公明党の支持母体である創価学会の婦人部がアレルギーを示したという報道もある。だが、舛添氏はもともと都議会公明党が推した候補。創価学会票のかなりの部分が投じられるに違いない。
出だしがふるわないのは細川氏だ。23日午後3時から渋谷駅前で行なわれた街宣では、1,300名の聴衆が集まった。
この数字は2001年4月に、同じ場所で小泉純一郎氏と田中真紀子氏が集めた人数に、はるかにおよばない。しかも細川氏の声はマイクを通してもよく聞こえず、存在感はまるでなし。聴衆も応援の小泉氏にばかり注目し、なかにはスマホで小泉氏の姿だけを撮影し、去っていく若者もいた。
「20年前の政治家、しかも何も業績も残さずに8カ月で辞めた首相なんて、若い人が覚えているはずがない」。
取材に来ていた記者がこう話す。そこには日本新党ブームを巻き起こしたスター政治家の面影はない。
そんな様子を広場の片隅で心配そうに眺めている女性がいた。細川氏の妻の佳代子夫人だった。佳代子夫人は首回りに毛皮のついた濃紺のロングコートを着て、街宣車の上の夫をじっと見つめ、細川氏と小泉氏の演説をじっと聞いていた。ときおり佳代子夫人に気づいた支持者が話しかけると、にこやかにそれに応じていた。演説が終わると佳代子夫人は、静かにその場を立ち去った。そんな妻の思いが夫に伝わったのだろうか。街宣を終えた細川氏は涙を流していたという。
一方で通常国会が24日に始まった。それにあわせて、各党の党大会が開かれた。18日には結いの党が結党大会を、19日には自民党、そして25日には生活の党が党大会を開いている。
とりわけ今年の各党大会の内容は、各政党の「お家事情」を示していて興味深い。
まずは18日に都内のホテルで開かれた結いの党の党大会だが、民主党から松原仁国対委員長、日本維新の党から浅田均政調会長、生活の党から小沢一郎代表が参加した。
小沢氏を除いて、各党のナンバー3以下が列席したわけだ。とりわけ結いの党の江田氏が連携を積極的に進めている日本維新の会から出席したのが、カウンターパートナーの橋下徹共同代表でも松野頼久国会議員団幹事長でもなかったのは奇妙に思えた。日本維新の会にとって、結いの党はさほど重要ではないというシグナルなのか・・・。
安倍晋三首相と山口那津夫公明党代表から祝電が寄せられたという点も、興味深い。政府・与党から野党に対して祝電を打つというのは、前例がない。実際に翌日に開かれた自民党大会では、結いの党からの返礼の祝電は披露されなかった。
最も注目すべきは、細川氏から祝電が披露されたことだろう。細川氏は特別の政党の応援を断っていた。にもかかわらず、結いの党は祝電に乗じて「細川氏を支援すると決定した」と明言。「特別の関係」を匂わせている。
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