今でこそ「電車内で携帯電話で話をして注意される」という光景は減ったが、日本での電車のマナーは以前、しばしば問題になった。現在でも「車内では携帯電話の使用は控えてください」などというアナウンスが流れるが、台湾では少し違う。台湾の地下鉄内で制限されるのは「飲食」だ。
日本の地下鉄で飲食する人はほとんどいないが、制限されてもいない。一方、台湾の地下鉄では、ホームや車内で飲食すると「1,500元(約5,000円)以上7,500元(約2万5,000円)以下」の罰金が科せられる。夜市では「歩き食い」文化が盛んな台湾なので、日本人にとっては意外な感じがするが、ガムさえも地下鉄車内で噛んではならない。
日本には、日常的に口から物を「吐く」習慣が少ない。つばを吐く人はいるが、中華圏では空気が砂埃を含んでいることもあり、男性を中心に、唾や痰をそこら中に吐いている。旧式の食堂には「痰壷(たんつぼ)」が置かれているほどに日常化。台湾でも、特に南部では「檳榔(ピンロウ)」という興奮剤にも近い植物を噛み、残った赤い繊維質を吐き出す習慣がある。最近では減っているものの、道端は場所によって赤く染まっているため、初めて訪れる日本人観光客は「流血事故でもあったのか?」と驚く人もいる。以前の台湾プロ野球でも、檳榔を噛みながら登板している投手もいたため、映像を見た日本のスポーツ記者が驚いたほどだ。日本では、公共の場で「物を吐く」習慣が少ないため、規則で縛る必要もないが、台湾地下鉄は規則化することで利用者に自制を促しているのだ。
シュガーレスが普及し、口臭予防などで日常的にガムを噛む人も多くなった日本。しかし、規則を知らずに旅先の台湾の地下鉄でそのままガムを噛んでいると、他の客から報告され、罰金を課せられることがあるので注意が必要だ。
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