日本のプロ野球チームを経て、台湾プロ野球リーグでゴールデングラブのタイトルを獲得するなど2年間にわたって活躍、その後は韓国に渡るなどプレーを続けている福岡県出身の小林亮寛投手が、昨年冬も海を渡り、ドミニカで開催された「ウインターリーグ」にトライ。昨年11月中旬から12月中旬までの約45日間、ドミニカの首都サントドミンゴに滞在し、リーグでの経験と野球に対する強い思いを語った。
「今回、ドミニカ行きを決めた理由は温暖な気候の中で肉体のリセットをすることが目的でした。2012年、2013年と2年間、韓国の高陽ワンダーズでプレーしてきたのですが、世界一厳しい練習に加えシーズンでフル回転したこともあり慢性的な疲労で身体が硬くなり、スピードが落ちて来ていたので動きながら身体を緩めることと、アジアには少ない硬く傾斜の強いマウンドでの投球をしたかったからです」
ドミニカは年間を通して気温19度~31度と温暖で過ごしやすい気候だ。また小林投手は昨シーズン韓国・高陽ワンダーズで全48試合中29試合49イニングに抑えとして登板、フル回転したシーズンの疲れを「動きながら緩める」ということが目的にあった。日本、台湾、韓国、さらにはメキシコ、カナダなど、様々な国のリーグでプレーした小林投手だが、ドミニカではさらに新たな発見があると言う。
「野球は各国で違いますがメジャーリーグの各球団にとっては選手の発掘だったり、調査したりする選手の新鮮な情報(ポテンシャルや故障の回復具合など)を集めるショーケースとしての役割に注目が集まります。選手がそれぞれ個性的なのでアジアの野球に比べて『野球の幅が広い』と言う印象です。パワーやスピードに加え、細かいコントロールや走塁、連携プレーなども素晴らしい選手が沢山プレーしていました。また、ドミニカ共和国の場合はメジャーリーガーでも球団と折り合いがつかず自由契約となった選手たちもたくさんいます。ウインターリーグのチームは登録選手が毎日入れ替わり、補欠の選手も50人以上いるそうなので、試合に出ることすらままなりません。なので、プレーしている選手たちは必死です。1打席でも1イニングでも多く試合に出なければ良い契約を勝ち取れないからです」
小林投手は、現時点で今シーズンの所属球団は確定していないが、ドミニカでの収穫は非常に大きかったと言う。「日本には寒い冬があり『冬の間の過ごし方』が存在しますが、中南米の殆どの選手は一年中プレーしながら生きています。走り込みや投げ込みといった作業がなくても野球選手としてのポテンシャルは非常に高いのです。走り込みや投げ込みはしませんが、計算されたトレーニングなどたゆまぬ努力をしています。自分がこれまでやって来たことが本当に正しかったのだろうか?と問題提起してくれました。このことは今後の僕の野球人生のテーマにもなります」
国境の枠を超えて挑戦を続ける小林亮寛投手。野球にかける情熱、そして、自らのパフォーマンスを冷静に表現する力、小林投手から今後も目が離せない。
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