長閑な古都として知られる杭州は、上海から高鉄(高速特急)で1時間弱。福岡からもアクセスしやすい観光名所だ。上海や北京は喧噪に溢れており、杭州もここ十数年で急激な発展を遂げた。しかし、いまだ中国の風情を残している場所がある。それが、杭州のシンボルでもある「西湖」だ。
西湖は広大な湖で、その周囲を取り囲むように公園や木々が並ぶ。中国十代風景名勝の一つにも数えられ「西湖十景」と呼ばれる代表的なスポットがあり、2011年6月にユネスコの世界遺産にも登録された。早朝は太極拳、昼間は散歩、夜はデートスポットとして賑わう。中国国内からの観光客も多い。
福岡の人が西湖を訪れると、「どこかで見たような光景だな・・・」と思うかもしれない。なぜなら、福岡市の中心地にある「大濠公園」は、西湖を模して作られた「人工湖」だからだ。西湖は1925年着工の1929年開園、外周が約15km。大濠公園の湖の外周は約2kmなので、大濠公園の方がかなりコンパクトだ。しかし、空気の穏やかさや湖と木々のコントラストなど、西湖と大濠公園では共通している部分も多い。大濠公園にはアヒルボートがあるが、西湖は渡し船。また、大濠公園にもスターバックスが誕生し、ランナーたちのおしゃれな休憩場所として人気だが、十数年前に杭州では一号店となるスターバックスが誕生したのも西湖である。
一方、福岡の観光地としては「大濠公園」を推したいところが、中華圏の人々にとってパッとせず大した目玉にならないのは、この西湖が原因とも言われる。なぜなら、福岡を訪れるレベルの、旅慣れた中華圏の人々は、来福以前に杭州・西湖を訪れているケースが多く、それに比べると「見劣り」してしまうからである。
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